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新しいウエアラブルセンサ、ソーラパワー発電効率記録樹立

September, 8, 2023, Pasadena--汗は、血のように、人の健康について多くのことを教えてくれる。また便利なことに、収集するのは遙かに侵襲性が低い。これは、医療工学の助教授、Wei Gaoが開発したウエアラブル汗センサの背後にある前提である。
同氏は、ヘリテージ医学研究所(Heritage Medical Research Institute)の研究者、Ronald& JoAnne Willens Scholar。
過去5年間、Gaoはウエアラブルに着実に機能を追加し、塩、糖、尿酸、アミノ酸、ビタミンのレベルや、特定の健康リスクをタイムリーに評価できるC反応性タンパク質などのより複雑な分子を読み取れるようにしてきた。最近では、オーストリアのヨハネスケプラー大学リンツ(Johannes Kepler University Linz)のMartin Kaltenbrunnerグループと共同で、Gaoはこれらのウエアラブルバイオセンサに柔軟な太陽電池を搭載した。

Gaoの研究室で使用されている太陽電池は、鉱物カルシウム酸化チタンで最初に見つかった化学構造を共有する材料、ペロブスカイト結晶でできている。ペロブスカイトが、太陽電池開発者の注目を集める理由はいくつかある
第一に、複数のプロセスで高度に精製する必要があるシリコン(1950年代から太陽電池に使用される主要材料)よりも製造が安価。第二に、ペロブスカイトはシリコン太陽電池層の1000倍も薄く、Gaoは「準2D」と言う。第三に、ペロブスカイトは、屋外の日光から様々な形態の屋内照明まで、多様な照明のスペクトルに調整可能。最後に、太陽エネルギーのパイオニアにとって最も魅力的なのは、ペロブスカイト太陽電池がシリコンよりも高い電力変換効率(PCE)を達成するため、受け取った光の大部分を使用可能な電力に変換できること。

シリコン太陽電池は26〜27%の範囲のPCEレベルに達しているが、通常の使用では範囲は18〜22%。対照的に、Gaoのウエアラブル汗センサに搭載されたフレキシブルペロブスカイト太陽電池(FPSC)は、屋内光照明下で31%を超える記録的なPCEである。「ウエアラブルに電力を供給するために強い太陽光だけを使用したくない。われわれは、通常のオフィスや家庭の照明など、より現実的な状況に関心を持っている。多くの太陽電池は、強い日光の下では高い効率を発揮するが、弱い屋内照明条件ではそうではない」(Gao)。
汗センサのFPSCは、特に屋内照明に適している。「FPSCのスペクトル応答が、一般的な屋内照明発光スペクトルとよく一致する」からである、とGao氏はコメントしている。

Gaoのウエアラブル汗センサの以前の反復法は、かさばるリチウムイオン電池で駆動され、外部電源で再充電する必要があった。これらの高需要デバイスに電力を供給するための、より軽量で再生可能な電力源を探すことで、Gaoの研究室はシリコン太陽電池の使用を試したが、剛性が高すぎて非効率的、強い照明条件に依存していることが判明。チームはまた、人間の汗(すぐに利用できるバイオ燃料)と体の動きに含まれる化学物質からエネルギーを収集する実験を行ったが、これらは不安定すぎるか、着用者の側で過度の努力を必要とすることがわかった。

FPSCを使用することで、Gaoは1日に12時間着用できる汗センサを作成し、pH、塩分、ブドウ糖、温度の継続的な監視と、発汗率の定期的な監視(5~10分ごと)を可能にした。これらはすべて、バッテリーや特別な専用光源なしで実現される。さらに、電源が軽くなり、扱いにくくなるにつれて、ウエアラブルには、より多くのバイオマーカーを同時モニタするための追加の検出器の余地がある。

この新しいウエアラブル汗センサは、前モデルと同様、折り紙のような方法で組み立てられ、個々のレイヤーはさまざまなプロセス専用。センサには、相互作用する 4 つの主要コンポーネントがある。1つ目は、太陽電池で収穫した電力を分配する電力管理。2つ目は、イオントフォレーシス、つまり、着用者側で必要な運動や高熱に晒されることなしに発汗を誘発できる。Gaoの研究では、観察中のバイオマーカーを継続的にモニタするのに十分な汗が利用可能であることを確認するために、イオントフォレーシスを3時間ごとに実行した。3つ目は、汗中のさまざまな物質の電気化学的測定を可能にする。4つ目は、データ処理と無線通信を管理し、センサが携帯電話アプリとインターフェースして、センサの監視の継続的な結果を表示できるようにする。

完全に組み立てられたセンサのサイズは20 x 27 x 4㎜で、身体への着用に伴う機械的ストレスを処理できる。「電子機器やFPSCなど、汗センサのほとんどの要素は再利用可能である。唯一の例外は使い捨てのセンサパッチで、インクジェットプリンティングを使い低コストで大量生産可能」(Gao)。
これらのセンサパッチは、ユーザーが体内で測定したい物質に応じてカスタマイズすることもできる。

これらの太陽光発電の汗センサが使用されると、現在のフィットネストラッカーやヘルストラッカーよりもはるかに多くのことを測定できるようになる。たとえば、糖尿病の管理(汗中のグルコースは血中グルコースとほぼ一致していることが研究によって示されている)や、心臓病、嚢胞性線維症、痛風などのさまざまな状態の検出に使用できる。これらのセンサは非侵襲的であり、短時間で複数の測定を実行できるため、コルチゾール、ホルモン、またはさまざまな栄養素や医薬品の代謝物などの物質の個人のベースラインを識別できる。そのような物質のベースラインレベルがわかれば、これらからの将来の逸脱は、単一の採血よりも効果的な診断手段を提供する。また、センサは比較的安価であるため、発展途上国を含む世界中で優れた診断ツールになることが期待されている。

論文「ペロブスカイト太陽電池を搭載した自律型ウエアラブルバイオセンサ」は、Nature Electronicsに掲載された。