August, 31, 2023, Pasadena--Caltechで開発された新しいタイプの顕微鏡は、生物を構成する分子そのものを見ることをいっそう容易にする。
Nature Photonicsに発表された論文で、化学准教授、Heritage Medical Research Institute研究者、Lu Weiラボの研究者は、BonFIREと言う顕微鏡を紹介している。
BonFIRE(bond-selective fluorescence-detected infrared-exited spectro-microscopy)は、2つの顕微鏡技術を選択性と感度が向上する一つのプロセスに統合しており、研究者が、前例のない単位分子レベルで生物学的プロセスを可視化し、分子の視点から生物学的メカニズムを理解できるようにする。
「われわれの新しい顕微鏡では、振動コントラストにより単一分子を可視化する。これは既存技術では難しい」とDongkwan Leeは、言う。同氏は、論文の共著者、化学エンジニアリング院生。
BonFIREに関わる一方の技術は蛍光顕微鏡である。これは、蛍光化学マーカーでタグづけすることで分子や他の微細構造をイメージングでき、イメージングする時に、それらを光らせる。
他方の技術は振動顕微鏡。これは、分子の原子を結びつける結合における自然の振動を利用する。サンプルは、大量の光で照射することでイメージングされる、この場合は赤外光。その光照射は、そのタイプが特定できるような仕方で物質の分子の結合を振動させる。トリプルボンドの振動は、単一ボンドの振動とは異なるように「聞こえる」。また、例えば、他の炭素原子に結合した炭素原子の振動は、窒素原子に結合した炭素原子の振動とは違うように聞こえる。経験のあるギターリストが、ギターのどのストリングがどのように弾かれたか、そのトーンを聞くだけで、それがどんな素材でできているかを言うことができるのと違わない。
Weiによると、蛍光顕微鏡により研究者は、単一分子を観察できるが、それは豊富な化学的情報を提供しない。他方、振動顕微鏡は、その豊富な化学的情報を提供するが、それはイメージングされる分子が大量に存在する場合である。
BonFIREは、振動と蛍光を結合することでこれらの制約を回避し、2つの技術の長所を効果的に統合した。そのプロセスは、このように機能する。サンプルは、イメージングのために分子に結合する蛍光染料で、最初に染色される。サンプルは、次に赤外光パルスに晒される、その周波数は、その染料にある特定結合を励起するように調整されている。その光のわずか1つの光子によって励起され、第2のもっと高エネルギーの光パルスが、それを照射し、励起して、顕微鏡で検出できる光で蛍光を発する。こうして、顕微鏡は、全細胞あるいは単一の分子をイメージングできる。
「われわれは、この分光学的プロセスに引きつけられ、それを新しいバイオイメージングのための斬新なツール変えた」とHaomin Wangは説明している。同氏は、論文の共著者、化学のポスドク研究者。「過去3年、われわれはカスタムBonFIRE顕微鏡の構築に取り組んできて、この分光学的プロセスについての理解を深めた。これにより、われわれは、われわれのセットアップにおける各コンポーネントの最適化に役立て、現在のパフォーマンスを達成した」。
論文で研究者は、生体分子を”colors”(色)でタグづけできることを証明しており、これにより生体分子は相互に区別される。これは、染料分子を構成する原子の複数の同位体を使うことで行われた。その結合で振動する周波数が、原子の質量の増減によって変わる。
「一度にわずかな色を区別できるだけの平凡な蛍光顕微鏡と違い、BonFIREは、赤外光を使って様々な化学結合を励起し、多種多様な振動カラーを生成する。同じサンプルから、一度に多くの異なるターゲットにラベル付けし、イメージングでき、分子の多様性を驚くほど詳細に明らかにすることができる。近い将来、生細胞で数10の色によるイメージング能力を証明できると考えている」(Wei)。