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3D視覚化技術でデジタル解剖

August, 28, 2023, Linköping--ミクストリアリティ(MR)の助けを借りて、すでに解剖の一部が実施できるようになっている。また、将来的には完全デジタル解剖も達成可能である。長期的には、この技術は、解剖をより効率的にし、法的に確実になり、トレーニングや協働でも利用される。

「デジタル的にできないことがいくつかある、臓器の重量を量ることなどだ。しかし、われわれのツールは、実際の解剖の補完となり、最終的に死体を全く切り込まないことへのステップである」とLonni Besançonは、言う。同氏は、Linköping University、メディア&情報技術学部、助教授。

臨床解剖は、様々な病気や考え得る治療について重要な知識を得るために行われる。全ての死体の約5%が臨床解剖される。司法解剖は、殺人や故殺など、犯罪の疑いがあるときに執行される。しかし、事故、自殺あるいは医療ミスによる死亡の場合も実施される。

没入型可視化
法医解剖は、法律により要求されている。しかし、臨床解剖の場合、宗教的信念、あるいは近親者からのNOが、解剖の不履行となり、重要な知識が失われるリスクとなるかも知れない。解剖自体に関連する課題もいくつかある。

「病理学者は、同時に記録し、CTスキャンをチェックしながら成果を警察の報告や血液テスト結果と比較しなければならないことがよくある。即ち、何度も手袋を取り、手を洗わなければならいない、これは非効率である」とLonni Besançonは、言う。

同氏が、オーストラリアのMonash Universityや University of Queenslandの研究者とともに、いわゆる没入型視覚化を利用して解剖室で複合現実感(MR)を実現する可能性を検討した理由は、ここにある。その考えは、デジタル技術が医者の作業を手助けするというものである。

手の動きでコントロール
大きな利点は、デジタル解剖が何度も繰り返し行えることである、つまり法廷でも同僚のオンラインでも見られる。しかし、医学生の教育で同技術の利用に研究者は大きな可能性も見出している。

CTスキャンからの情報を利用することで、病気の身体の口頭報告を作ることができる。解剖室で、医者の眼前には実際の死体があるが、ヘッザセットをつけていて眼はデジタルオーバーレイを見ることができる。つまり死体のデジタルバージョンと手動で動きを制御されたメニューである。メニューは、2Dスクリーンには同時に収められない報告や従来のCTスキャンなど大量の情報を含んでいる。3Dで身体のレイヤー毎に様々な部分を見ることができ、様々な身体の部分の計測など、デジタル的に特定の作業を行うことができる。

3年~5年
この技術は、オーストラリアのVictorian Institute of Forensic Medicineの解剖技師と協力して開発された。同氏は、その必要性について説明を求められ、その技術の性能について継続的なフィードバック提供も求められた。しかし、Lonni Besançonによると、その技術が現場で一般に利用されるようになるまでには数年かかる。

「3~5年で、新しいヘッドセットの性能が現在のものよりもよくなっていれば、病理学者は、ハイブリッドソリューションで仕事ができる」。

この研究の次のステップは、レポート執筆を容易にする作業を続けること、またそれを解剖に組みこめるようにすること。とは言え、ヘッドセットからスクリーンショットを撮り、口頭報告することで、書面による報告は自動的に生成される。