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青色光は角膜修復に役立つ

August, 9, 2023, Ottawa--研究者は、世界的に提供される組織の不足を補うために人のドナー角膜の代替を開発しようと競っている。こうした取組にもかかわらず、角膜移植は、引き続き、眼球の外層を薄くする病気のゴールドスタンダードとなっている。

最新の研究でカナダの研究者は、眼の損傷領域に直接注入できる生体材料を開発した(Adv. Funct. Mater., doi: 10.1002/adfm.202302721)。低エネルギーのブルー光パルスで活性化されると、その材料は固まり、損傷した組織を成形し厚くする構造を形成する。

オタワ大学の医学教授、生体工学研究者、Emilio Alarconは、「われわれの技術は、角膜修復分野における躍進である」と語っている。「角膜形状に悪影響を与える病気で生活している患者には、これが実用的な治療ソリューションになると確信している」。

低用量パルスブルーライト
角膜は、眼の合焦能力の約2/3を占める。その透明性の永久損失につながる病気は、特に一般的な失明の原因となり、世界で5700万人に影響を及ぼしている。切迫していなくても、角膜薄化は、視覚をこ歪めるので、問題になり得る。一般的な角膜薄化疾患、円錐角膜は男性の場合、1000人に21人、女性の場合、1000人に18人に影響を及ぼしている。

研究では、Alarconとチームは、ペプチドとグリコサミノグリカンで構成される注入可能生体材料の使用が、角膜を強化し治癒促進に役立つことを示している。即ち、これにより患者は、侵襲的な移植を回避できる。チームが提案した方法は、粘性液体を組織の小さな、手術で作られたポケットに注入する。次に、研究チームは、460ーnmの光を10分間その領域に照射し、その液体を固めて、組織のような3D構造を形成する。チームの提案では、網膜損傷を避けるために8.5 mW/cm2の低用量で光をパルス化する、2.5秒オン、次に2.5秒オフにする。

研究チームが、その材料を生体外で、ブタの角膜を使ってテストしたとき、結果的な透明3D構造は、ブタの組織と同じ特性であることを確認した。OCTイメージングは、注入後48時間、その構造が安定であることも明らかにした。

研究チームは、生体実験ではラットに眼を向けた。チームは、6週間ラットをモニタし、厚くなった材料が𪘂歯動物の目でも安定であり、大きな炎症を起こさないことを確認した。この実験結果に基づいて、「われわれの材料は、人の角膜でも安定を維持し、無毒であると期待している」とAlarconは話している。

臨床試験への道
研究が公表されるまで7年かかった。「われわれは、技術に関わるコンポーネントの各部分を設計しなければならなかった、光源から、研究に使う分子までである。その技術は、臨床移転できるように開発された、つまり全てのコンポーネントは、最終的に、厳格な無菌基準に従って製造されるように設計されなければならない」(Alarcon)。

成果は特許申請中。特許は、現在ライセンス交渉中。人の臨床試験が行われ前に、大きな動物モデルでの実験も行われる必要がある。