December, 1, 2022, Barcelona--UAB(Universitat Autonoma de Barcelona)研究チームは、脳が情報を蓄積する仕方を真似る磁気材料を開発した。その材料は、ニューロンのシナプスをエミュレートし、睡眠中に起こる学習を始めて真似ることができる。
ニューロモルフィックコンピューティングは、新しいコンピューティングパラダイムである。ニューロンの主要シナプス機能を真似ることで脳の挙動を模倣する。これらの機能の中に神経可塑性がある。情報を蓄積、または忘れる機能である。これはニューロンを刺激する電気インパルスの持続と反復に依存する。即ち、学習と記憶関連付けられる可塑性である。
ニューロンシナプス、メムレジスティブ材料、強磁体、相変化メモリ材料、トポロジカル絶縁体、などを真似る材料の中で、最近は、磁気イオン材料が注目を浴びている。この材料の場合、磁気特性の変化は、電界を与えることで起こる材料内のイオンの変位によって引き起こされる。これらの材料では、電界を加えることで磁気が変調されることがよく知られているが、電圧が止まった時(つまり、刺激後の展開)の磁気特性の漸進的変化は、制御が難しい。このため、脳からヒントを得た機能、脳が熟睡状態にある間(即ち、外的刺激がない)でも起こる学習効率の維持などを模倣することが複雑になっている。
研究チームは、一窒化コバルト(CoN)の薄い層をベースにした材料を開発した。ここでは、電界を加えることで、層と層を設けた液体電極の界面でNイオンの制御が可能になる。「その新しい材料は、電圧制御のイオンの動きでわれわれの脳と類比的にに機能する、またスピードは、ミリ秒オーダーで、ニューロンで生成されるスピードと同等である」とICREA研究教授、Jordi Sortと Serra Húnter Tenure-track 教授Enric Menéndez.は説明している。「われわれは人工シナプスを開発した。将来、これは、新しいコンピューティングパラダイムの基盤、現在のコンピュータで使われているものの代替となる」とSortとMenéndez.は指摘している。
電圧パルスを印可することにより、制御的に、記憶、情報処理、情報の取り出し処理を模擬することができた。それに初めて電圧の印加なしで情報の制御的アップデートを模擬できた。この制御は、一窒化コバルト層(これがイオンの動きの速度を決める)の厚さとパルスの周波数を変更することで達成された。その材料の配列により磁気イオン特性が制御される、電圧が印可されているときだけでなく、初めて電圧が除去された時もである。外部電圧刺激が消えると、システムの磁化が減少または増加可能になる、これは材料の厚さに、また以前に電圧がどのように印可されたかというプロトコルに依存する。
この新しい効果は、ニューロモルフィックコンピューティング機能にあらゆる種類の機会を開く。新しい論理機能は、例えば、われわれが深く眠り込んでいるとき、脳刺激後に起こるニューラルラーニングを真似る。この機能は、いかなるタイプの既存のニューロモルフィック材料でも模擬できない。
「一窒化コバルト層の厚さが50nm以下、印加電圧が100サイクル/秒を上回るとき、新しい論理機能を模擬することができた、追加のエネルギー注入は不要である。深い睡眠中に脳で起こるシナプス機能を真似ている。その時、、外部信号なしで情報処理は続いている」とJordi Sort と Enric Menendezは強調している。
(詳細は、https://www.uab.cat/)