October, 24, 2022, 和光--理研と阪大、北大の共同研究グループは、心筋における脂肪酸代謝を光で可視化するための近赤外蛍光プローブの開発に成功した。
研究成果は、心筋における脂肪酸代謝を、放射線を使わずに非侵襲的にイメージングする手法として、心臓疾患の研究に貢献するものと期待できる。
脂肪酸は心筋のエネルギー源であり、その代謝状況は心臓の状態を反映する。従来医療現場では、心臓の診断に放射性プローブI-BMIPPによる心筋脂肪酸代謝のシンチグラフィーが用いられている。
今回、共同研究グループは、体を透過する近赤外蛍光を用いた心筋脂肪酸代謝の生体蛍光イメージングを実現するため、BMIPPの放射性ヨウ素の代わりに近赤外蛍光色素Alexa680で修飾した近赤外蛍光プローブ「Alexa680-BMPP」を開発した。この化合物が発する近赤外蛍光の観測により、ヒト心筋培養細胞およびマウス個体において心筋での脂肪酸代謝が可視化できることを確認した。
研究は、科学雑誌『Analyst』の表紙に採用され、10月7日に掲載されました。
(詳細は、https://www.riken.jp)
研究グループ
理化学研究所生命機能科学研究センターナノバイオプローブ研究チームの神隆チームリーダー、坪井節子テクニカルスタッフ、北海道大学大学院先端生命科学研究院化学生物学研究室の門出健次教授、村井勇太助教、マハデバ M. M. スワミー助教、大阪大学大学院医学系研究科中性脂肪学共同研究講座の平野賢一特任教授(常勤)ら