October, 13, 2022, Washington--ワシントン大学医学部セントルイスの研究者は、ローコスト、簡素なイメージングシステムを開発した。そのポータブルシステムは、究極的には外科医が腫瘍を切除する際に精度を高めて、健康組織とガン性組織の区別をする際に役立つ。
医者は、腫瘍を切除する間、蛍光分子を使い、ガン性組織が残っているかどうかを見るためにガン細胞を照らし出す。しかし、この技術のために必要な装置は、広く利用できることはなく、一般に組織内に残るガン細胞がどの程度の深さに存在するかについて定量的情報を提供しない。深さ情報を利用できるなら、腫瘍周辺の完全な健全組織層の除去に役立ち、患者にとっては可能なベストの結果となることが示された。
「定量的深さ情報を提供する数少ない商用システムは、大きくて高価であるのて、大きな医療センタ外での利用は限られる」とセントルイスのワシントン大学医学部、Samuel Achilefu研究室、研究チームリーダー、Christine M. O’Brienは、話している。さらに同氏は、「われわれのグループは、ローコスト、簡素なシステムを開発するためにこの分野の先行成果に立脚している。システムは、近赤外(NIR)蛍光プローブを使って腫瘍細胞の深さを迅速に判定できる」。
研究者は、その新システムをBiomedical Optics Express誌に発表した。そのポータブルで使いやすいシステムは、リソースの少ない臨床センタで使え、医療格差最小化に役立つ。
「このようなシステムは、将来、腫瘍切除を行っている患者の手術結果改善のために使える。
ガンを照らし出す
研究者は、もし外科医が腫瘍を切除するとともに、その周囲の健康な組織層も除去するならガンの外科治療が最も成功する傾向があることを示した。しかし、それは困難である。腫瘍がどこで終わり、健全な組織がどこで始まるかのマージンを正確に示すことが難しいからである。加えて、健全な層の適切な厚さは、腫瘍タイプと腫瘍の位置に依存する。
この作業に役立てるために、O’Brien をリーダーとするAchilefu Lab研究チームは、腫瘍切除中に単一蛍光染料を適用することに基づいた新しい計測器を開発した。これは、組織の異なる深さに浸透する2つの異なるNIR波長で励起できる。放出NIR蛍光は、組織を通して撮像できるのでガン細胞は、表面化1㎝から2㎝で検出できる。
デュアル波長励起蛍光は、光の異なる色、つまり波長が組織内で異なる距離を進むという事実を利用している。異なる光波長で腫瘍-標的蛍光分子を照射し、その反応を比較することで、腫瘍-標的エイジェントが腫瘍内にどの程度深く見つかるかを予測することができる。
「多数の研究グループが、蛍光体の深さをレシオメトリック蛍光計測に関連する数学的関係の開発に貢献した」とO’Brienは話している。「医療利用のために開発された近赤外造影剤の急増により、われれは以前の研究に立脚して近赤外で機能するシステムを構築する方向へ踏み出した。システムは、ローコストであり、簡単に使える」
デュアル波長システムの構築
新しい蛍光イメージングシステムは、2波長励起に730-nmと780-nmのLEDsを使い、また結果としての蛍光の検出にはモノクロCMOSカメラを使用する。明視野画像を作るために850-nm LEDも組み込まれた。これにより蛍光画像は、組織の実際の見え方と関連付けられる。研究チームは、Achilefu Labで開発されたLS301という実験薬の利用を決定した。これは、ガン-標的赤外プローブ赤外プローブとして、腫瘍切除中に管理できる。そのブロードなスペクトルにより、1つの蛍光体以上の利用が不要にるからである。そうでなければ、臨床アプリケーションは、さらに複雑になっていた。LS301は現在、乳ガン患者で治験中である。
そのシステムを層状合成素材と鶏肉のスライスでテストした後、チームはマウスに成長させた乳ガンから腫瘍の深さを予測する能力を評価した。これは、マウスにLS301を注入し、次に同システムを使用してイメージングすることで実行した。必要な画像の取得に5分かかった。これらの画像に基づいた計算は、腫瘍の実際の深さによく相関しており、平均誤差はわずか0.34㎜であった。これは、臨床利用に受け容れられる可能性が高い。
研究チームは現在、データ処理の高速化、同システムが組織面全体をスキャンできるように付加的自動化を追加することで、そのシステムが外科指導に一段と役立つようにしようと取り組んでいる。