September, 9, 2014, St.Louis--ワシントン大学セントルイスの研究チームと中国の精華大学の研究者は、10nmサイズのナノ粒子を一度に1個検出してカウントできる新しいセンサを開発した。研究チームによると、このセンサはこれよりも遙かに小さな粒子、ウイルス、微小な分子を検出できる潜在能力がある。
研究リーダーは、電気&システム工学Das Family Career Development准教授、Lan Yang, PhD。
研究チームは、二酸化ケイ素チップにラマンマイクロレーザを作製し、マイクロレーザに光利得を与えるためにチップに希土類イオンを添加することなく、個々のナノ粒子を発見した。マイクロレーザに添加物を加えると、処理ステップが増え、コストが増加し、生体適合性が危険にさらされる。加えて、希土類イオンの使用は光利得を生成するためにイオンのエネルギー移行と整合する特定「励起」レーザを必要とするので、異なる希土類イオンには異なる励起レーザを使用しなければならない。Yang氏によると、ラマンプロセスの使用は、励起レーザ用の特定波長帯の必要性から解放される、と言うのはラマン利得は任意の波長帯からの励起で得られるからである。
「これにより、様々なセンシング環境で同じドーパントフリーセンサを使えるというメリットがある。発振周波数は特定の環境向けに調整する、例えばその環境が最小吸収となる帯域にする、また励起レーザの波長を変えることによって狙ったナノ粒子の特性向けにする」と研究グループの1人、筆頭著者、Sahin Kaya Ozdemir氏は説明している。
研究チームは、同グループがより簡単にナノ粒子を検出する新しい強力なセンサを開発するために開拓したモード分裂により、ラマン発振をシリカマイクロキャビティに統合した。この技術は、エレクトロニクス、音響学、生物医学、プラズモニクス、セキュリティ、メタマテリアル分野にも利益をもたらす。
Yang氏のマイクロセンサは、いわゆるウイスパリングギャラリモード共振器(WGMRs)に分類される。Yangのデバイスは、可聴周波数よりも光周波数で同じように動作する。
初期の形態依存として知られる共振器と新しい共振器との主要な違いは、光の反射にミラーを使用しなかったこと。Yang氏のWGMRは実用的なミニレーザであり、「周波数低減モード」をサポートしている。これはミニレーザのドーナツ形状リング内部の同じ周波数の励起パタンである。ラマンレーザからくる光の一部は時計と反対回りに進み、もう1つは時計回りに進む。粒子がリング上に落ちて、これらのモードの間にエネルギーを散乱させるとき、単一のラマンレージングラインが、異なる周波数の2つのレージングラインに分かれる。
ラマンレーザビームが共振器で生成されるとき、円周上でウイルスのナノ粒子のような粒子に遭遇することになる。最初にビームが粒子に直面すると、ビームは2つに分かれ、2つのレージングラインが生成される。これらは他方に対してレファランスとなり、自己参照センシング技術を形成する。
Ozdemir氏によると、この新しいセンサはシリカの性体適合性を保持しており、生体媒質でのセンシングで幅広い利用が期待できる。