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マイクロリング共振器で迅速エボラ診断

August, 8, 2022, Washington--ワシントン大学医科セントルイスと他の研究機関の研究者の共同研究によると、新しいツールは、血液中のエボラウイルスの存在を迅速かつ高信頼に特定できる。

いわゆる光マイクロリング共振器を使うその技術は、致死性のエボラウイルス疾患の迅速診断テストに発展する可能性がある。エボラは、感染者の89%を死に追いやる。1976年に発見されて以来、エボラウイルスは、主に中央と西アフリカで、数十回の発生を引き起こした。最も有名なのは、ギニア、シエラレオン、リビエラで2014年に始まり、11000人以上が死亡した。米国では、そのウイルスは11例発症、2名が死亡している。迅速、早期診断により公衆衛生ワーカーは、ウイルスの拡大を追跡し、爆発を制限する方策を講ずることができる。

ミシガン大学、バイオテック会社、Integrated Biotherapeuticsの研究者も関与する研究は、Cell Reports Methodsに発表された。

「感染症を早期に診断できるときはいつでもヘルスケアリソースをより効率的に割り当てることができ、個人や社会により優れた結果をもたらす」とワシントン大学ポスドク研究者、論文の筆頭共著者、Abraham Qavi, MD. Ph.Dはコメントしている。「エボラ感染のバイオマーカーを使うことでわれわれは、感染後、極めて重要な数日でエボラ感染を検出することができる。人々が必要とする医療ケアを受けさせることに関しては、数日が大きな差になる」。

エボラウイルスは、体液による接触で伝染する。熱、身体の痛み、下痢や出血を起こす、これは非特定症状で、他のウイルス感染、マラリアとよく間違えられる。近年、エボラのためのワクチンや効果的な治療が開発されたが、それらは広く利用できるわけではない。代わりに、保健係官が、発生を食い止めることでその致死性ウイルスをコントロールする。その戦略は、感染した人々を迅速に見つけ、介護人に防護具を着けさせることで伝染を防ぐことに依拠している。

研究チームは、マイクロリング共振器を使って血液サンプルに微量のエボラ関連分子を検出できるツールを共同開発した。

Qaviは、「われわれは、その共振器に光をトラップし、共振器を使って信号を増強する。この共振器波長が生ずるところをモニタすることでわれわれは、どの程度の分子が存在するかを示せる」と説明している。

重要なのは、適切な分子の発見であった。現在の診断テストは、ウイルスの遺伝物質、つまりウイルスが作り出す糖タンパク質、糖に覆われたタンパク質の検出だ。しかし、ウイルスがそれらを体内でハイレベルに増やして初めて、それらは信頼できる。数日かかるプロセスだ。共同シニアオーサ、Frederick Holtsberg、Ph.D、Integrated Biotherapeuticsの製造とバイオ分析担当VPは、低レベルでウイルス可溶性糖タンパク質を検出できる高感度抗体を開発した。

研究チームは、その抗体をデバイスに組込み、感染した動物の血液を使ってそれをテストした。チームは、その技術が、ウイルス遺伝物質の最も高感度テストと同等か、それにりも早く糖タンパク質を検出できることを確認した。重要な点は、その技術により血中のウイルス糖タンパク質の量を定量化できることだった。レベルが高ければ高いほど、感染した動物はますます危機に瀕する。さらにテストは、始めてから終わりまで40分しかかからない。

Qaviによると、これらのデータを見て「このレベルなら、生存確率は低い。それ以下なら、生存確率は高い」と言える。「われわれはまだ、これを感染した個々人で検証する必要があるが、もしそれが支持されるなら、医者はこの情報を使って個々の患者の治療計画を調整でき、また希少な医薬品を最も利益を受ける可能性が高い患者に割り当てることができる。
 「われわれは、基礎科学研究を示した。今度は、デバイスの微小化、それらを現場に出すことが問題だ」とQaviは話している。
(詳細は、https://medicine.wustl.edu)