July, 11, 2022, Houston--ヒューストン大学、Cullen College of Engineeringのバイオメディカル工学准教授、Mohammad Reza Abidianは、マイクロスケール有機エレクトロニクスの将来の製造を展望して、マルチフォトン3Dプリンタは、フレキシブルエレクトロニスやバイオエレクトロニクスでの利用可能性があると見ている。
同氏の研究グループの最新の論文は、その技術の可能性の研究である。論文は、Advanced Materialsに発表された。
過去数年で、エレクトロにクス3Dプリンティングが有望な技術になっている。ナノエレクトロニクスやナノフォトニクスなど新しい分野に潜在的なアプリケーションがあるためである。3D微細加工の中でマルチフォトンリソグラフィ(MPL)が最先端と考えられている。真の3D製造能力、優れた空間的、時間的制御、主にアクリルベースポリマ/モノマ、あるいはエポキシフォトレジストで構成される感光性材料の多様性を備えているからである。
「この論文でわれわれは、新しい感光性レジンを紹介した。これには、有機半導体材料(OS)を添加している。MPLプロセスで高品質の構造的特徴を備えた高伝導性3D微細構造を製造するためである」とAbidianは話している。
研究チームは、製造プロセスがガラスとフレキシブル基板ポリ(ジメチルシロキサン)上で行われことを示した。レジンに低0.5wt% OSをロードすることで、プリントされた有機半導体複合ポリマの電気伝導性を10桁以上高めることを実証した。
「優れた電気伝導性は、架橋ポリマチェーンのOSの存在によるものである。これがポリマチェーンに沿って、イオンおよび電子伝導経路の両方を提供する」(Abidian)。
OS複合レジンに基づいた潜在的な電子アプリケーションを実証するために同氏のチームは、様々なマイクロエレクトロニクスデバイスを作製した。これには、マイクロプリント回路ボードが含まれ、これは様々な電子素子、マイクロキャパシタアレイで構成されている。
MPLベース有機半導体微細デバイスの3Dバイオプリンティングは、再生医療、バイオエレクトロニクス、バイオセンサを含むバイオメディカルアプリケーションに可能性がある。Abidianのチームは、ラミニンやグルコースオキシダーゼなどの生物活性分子をOS複合微細構造に組み込むことに成功した。ラミニンの生物活性がMPLプロセス全体で保持さていることを確認するために、初代マウス内皮細胞がOS複合微細構造(OSCMs)で培養された。OSCMsに組み込まれたラミニンに播種された細胞が、基板への付着、拡散、それに生存率向上の証拠を表示した。
「われわれは、リンパ球、つまり脾臓T細胞とB細胞を培養することでOS複合構造の生体適合性も評価した。製造された面上と対照面上を比較してOS複合構造を評価した。7日の培養後、OS複合ポリマは、対照面と比較して約94%の細胞の生存で、細胞死を誘導しなかった。加えて、細胞活性化上のOS複合ポリマの潜在的な効果も調べた。培養7日後、OS複合構造と対照面の間でリンパ球で活性化マーカー発現に有意差はなかった」(Abidian)。
最後にAbidianは、バイオエレクトロニクスやバイオセンサの製造でMPLベースのマスクレス法を提案した。ミシガンスタイル神経電極に類似のグルコースバイオセンサを作製。グルコースオキシダーゼ、グルコースの特異的認識のための酵素は、MPLプロセスにより固化した複合微細電極にエンカプセルされた。そのバイオセンサは、高感度グルコースセンシングプラットフォームとなった。以前のグルコースバイオセンサに比べると、約10倍の高感度である。加えて、このバイオセンサは、優れた特異性と高い再現性を示した。
「現在のMPL適合OS複合レジンが、ソフトな、生物活性、伝導性マイクロ構造の製造に道を開く。アプリケーションは、フレキシブルバイオレクトロニクス、バイオセンサ、ナノエレクトロニクス、オーガン・オン・チップ、免疫細胞治療の新興分野など様々である」とAbidianは話している。
(詳細は、https://www.egr.uh.edu)