July, 6, 2022, 仙台--東北大学大学院医工学研究科新楯諒大学院生(研究当時、現・富士フイルム)、西條芳文教授らの研究グループは、韓国浦項大学のChulhong Kim教授らのグループとの共同開発でMEMSスキャンを用いた光音響顕微鏡を開発し、そのスキャンをさらに高精度制御することで高画質画像を得ることに成功した。特に不透明な皮下組織のループ状毛細血管のヘアピンカーブ構造における細動脈・細静脈を明瞭に区別した画像撮影は世界初である。
毛細血管は皮膚近くではループ状の構造を取っており、血流に障害が起こるとループ状構造が乱れたり消失したりすることから、病気の診断に利用されている。しかし、普通の皮膚は不透明なため、皮下の毛細血管を明瞭に観察することはこれまでできなかった。
近年、近赤外線を利用した光干渉断層計によって、皮下の血管網の構造を詳細に観察することができるようになったが、解像度の限界により、ループ状構造までの観察は困難だった。一方、光音響イメージングを使用した光音響顕微鏡は、非常に高い解像度を実現でき、新しい血管観察法として開発が進められている。
研究成果は、毛細血管による皮膚の評価に直ちに応用可能で、開発中の内視鏡との組み合わせによりがん組織の血管構造などにも応用可能な技術。
研究成果は、2022年6月2日に国際科学誌Scientific Reports(電子版)に掲載されました。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)