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ナノプラズモニックと光共振器の強調でレーザ光

August, 28, 2014, Urbana--ナノプラズモニックと光マイクロ共振器を組み合わせることでイリノイ大アーバナ・シャンペーン校Urbana-Champaign)の研究チームは、新しい光増幅器(またはレーザ)設計を考案した。研究チームによると、これはpower-on-a-chipアプリケーションに道を開くものである。
同大学の電気・コンピュータ工学教授、ゲイリー・エデン氏(Gary Eden)は、「われわれは、光を増幅し、超狭帯域スペクトラムを生成するマイクロスケールの光システムを実現した。この新しい光増幅器は、電気と光のコンポーネントを含むチップ上で光パワーのルーティングに最適である」と説明している。
「人の皮膚を透過する光によってその増幅器が励起されるので、医療分野におけるその潜在的応用はすばらしいものである。こうした理由で、この微小球ベースの増幅器は、細胞や埋め込まれた生物医学センサからの信号を体外の電気・光ネットワークに転送することができる」。
現在利用できる半導体エレクトロニクスの速度は、熱の発生やインターコネクト遅延時間の問題で、10GHz程度が限界になっている。速度に制限されない誘電体ベースのフォトニクスは回折の基本的な法則によってサイズが限界づけられている。研究チームは、プラズモニクス(金属ナノ構造)が、フォトニクスとナノエレクトロニクスをつなげ、ナノエレクトロニクスのサイズと誘電体フォトニクスのスピードを結びつけることを見いだした。
「われわれは、プラズモンナノアンテナと光マイクロキャビティで構成される新しいオプトプラズモニックシステムを実証した。これは、ナノスケール領域での変調、周波数スイッチング、信号の増幅を可能にする。また、モノリシックにオンチップ光源を作製するための重要な一歩である。将来的には、チップの優れたスピードパフォーマンスを実現しながら、低エネルギー消費が可能なチップが実現する」と論文(Scientific Reports掲載)の筆頭著者マナス・ランジャン・ガーティア氏(Manas Ranjan Gartia)は言う。
その増幅器の中心部には、直径10µm程度のマイクロスフィア(ポリスチレンまたはガラス製)がある。強い光ビームで励起されると、この微小球は内部で狭帯域光信号を発生させる。これはラマン散乱として知られるプロセス。タンパク質で球面につなぎ止められた分子がラマン信号を増幅し、球に接したナノ構造面と呼応して増幅器は、内部で生成した信号に整合する帯域の可視光(赤または緑)を生成する。
提案した設計は、狭帯域光パワーのオンチップルーティングに適している。過去50年、光共振器と増幅器は、一般に、自然発光の蓄積をベースにしていた。それは出力の時間的コヒレンスを限界付け、光強度が飽和に達するのに必要な時間を延ばし、複雑なマルチラインスペクトラルの原因となることがある。
「われわれの設計では、ラマンアシスト注入シード同期を使って上の問題を克服する。注入同期によって提供されるスペクトラル制御に加えて、アンプの効果的Qが注入ラマン信号の帯域によって規定できる」とガーティア氏は説明している。これは、QがWGM(whispering gallery mode)共振器だけで決まった以前のWGMベースのレーザやアンプと対照的である。
 詳細は、Injection-Seeded Optoplasmonic Amplifier in the Visible(Scientific Reports)。