May, 20, 2022, 東京--東京工科大学応用生物学部の松井毅教授、東京保健医療専門職大学リハビリテーション学部の佐々木博之教授らの研究グループは、新たな電子顕微鏡試料の染色法を開発した。
光学顕微鏡の染色剤として広く使用されているヘマトキシリンを鉛溶液との二重染色法に応用したもので、従来の酢酸ウランと鉛溶液の二重染色法に代わる、安全性、コスト、扱い易さなどに優れた手法として期待される。
研究成果は、5月16日に英科学誌Natureの姉妹誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。
【研究成果】
電子顕微鏡の超薄切片法において、酢酸ウランの代替となる安全で取扱の容易な染色法を開発するため、市販の様々な光学顕微鏡用色素を検討した。その結果、光学顕微鏡の一般的な染色剤として用いられているマイヤーヘマトキシリンと鉛溶液の二重染色でも、様々な組織・細胞において従来の酢酸ウラン溶液と鉛溶液の二重染色と同等の染色性を示すことがわかった。
マイヤーヘマトキシリン-鉛染色法により、核クロマチン、細胞膜構造、リボソーム、グリコーゲン、脂肪滴、細胞接着装置、細胞骨格系などの他の細胞小器官が、高いコントラストで染色されていた。特に、すべての試料で、細胞膜の染色性が良いことがわかった。また、電解放射型超高分解能走査型電子顕微鏡で観察したマウス腎臓の200nmの準超薄切片の後方散乱電子像においても、マイヤーヘマトキシリン-鉛染色法は、腎臓皮質尿細管と腎臓糸球体が広領域かつ高画質で観察されることがわかった。
(詳細は、https://www.teu.ac.jp)