3Dイメージングで､前立腺ガンの悪性度を見る

April, 14, 2022, Washington--米国では､前立腺ガンは､男性で最も一般的であり､男性では､2番目の死因である｡

前立腺ガンの中には成長が遅いものもあり､時間をかけてモニタできるが､他のものは直ちに処置が必要である｡ヒトのガンがどの程度悪性であるかを判断するには､医者は､スライドで生検組織スライスに異常性を探す｡しかし､この2D法は､境界例を適切に診断するのを困難にする｡

今回､ワシントン大学のチームは､スライスの代わりに全3D生検をイメージングする新しい､非破壊法を開発した｡概念実証実験で､研究チームは､50の患者から採取した300の3D生検を撮像｡これは､患者当たり6生検｡さらにコンピュータを使い､3Dと2Dの結果から､患者が侵襲性の強いガンを持つ確率を予測した｡3D機能により､コンピュータが5年以内に再発しそうな症例を特定するのが容易になった｡

研究成果は､Cancer Researchに発表された｡

｢われわれは､各生検の小さな部分が顕微鏡スライド上で2Dで検査される従来の病理学と比較して､3Dで生検を100%調べる能力が､より多くの情報を提供し､正確であることを初めて示した｣と､UWの機械工学､バイオエンジニアリング教授､Jonathan Liuはコメントしている｡｢これは素晴らしいことである｡臨床判断のための非破壊3D病理学の価値を実証する多くの臨床研究の最初だからである｡どの患者が積極治療を必要としており､患者の一部がある薬剤に最もよく反応するか､などの臨床的判断である｣｡

研究チームは､10年以上前に手術を経験した患者からの前立腺試料を使用した｡個々の患者の予後が分かっており､その情報を使って､コンピュータをトレーニングしてその予後を予測するために利用できるからである｡この研究では､サンプルの半分が､侵攻性の強いガンだった｡

3Dサンプルを作るために研究者は､手術で切除した前立腺から｢生検コア｣､組織のシリンダ形状プラグを抽出し､次に生検コアを染色して､2D法で使用される一般的な染色を模擬した｡次にチームは､オープントップ･ライトシート顕微鏡を使って､各生検コア全体を撮像した｡この顕微鏡は光シートを使って､光学的に｢スライス｣し､破壊することなく組織サンプルを撮像する｡

3D画像は､2D画像よりも多くの情報を提供する､特に組織全体の樹状の腺の構造である｡これらの付加機能により､コンピュータがガンの悪性を正確に予測する確率を高めた｡

研究者は､このプロジェクトで生成された大規模なデータセットの管理と解釈に役立てるために､新しいAI法を利用した｡これにはディープラーニング画像変換技術が含まれている｡

｢過去10年ほど､さまざまな臨床応用のために､われわれのラボは主に､顕微鏡を含む光学イメージングデバイスの構築に焦点を当ててきた｡しかし､われわれは､臨床採用に向けて次の大きな課題に直面し始めた｡患者の試料から取得している-膨大なデータセットの管理と解釈法である｡この論文は､われわれの多彩な機能をもつデータセットを分析する新しい計算パイプラインを開発するわれわれのラボにおける初の研究である｡われわれが､イメージング技術やコンピュータ分析法を改善し続けるにしたがい､またより大きな臨床研究を実行するにしたがい､多くのタイプの患者が恩恵を受けるように､病理学分野の変革に寄与すると期待している｣とLiuは話している｡

(詳細は､https://www.washington.edu/)