October, 27, 2021, Duesseldorf--ヨーロッパでは、大腸ガン死亡は毎年16万人。その多くが早期介入によって阻止できる。大腸内視鏡検査は、早期大腸ガン発見の至適基準であるが、まだ前ガン細胞の最大20%は見落とす。しかし現在、汎ヨーロッパ健康コンソーシアムにより、フォトニクスを使って大腸ガンの見極めを支援する新しいコンセプトが、まもなくこれらの死亡の半分までを阻止し、ヘルスケアコストを90億ユーロ減らす。
早期診断のために細胞レベルで大腸内部をリアルタイム検査できるツールは存在しない。しかし現在、ドイツ、UK、アイルラド、オーストリアのヨーロッパの研究チームは、新しい光学イメージングプラットフォームを開発している。これは、無害の光ビームを使い、極めて早期段階で、大腸ガンの明らかな兆候を見つける。
腸に挿入し、次に検査や分析のために腫瘍を切断手術する従来のカメラに代わり、この新しい光学イメージング技術は、以前よりも遙かに詳細に組織を見ることで不要な侵襲的生検を回避できるように医者を支援できる。
内視鏡に取付た,新しい光学イメージングシステムにより、医者は、検査のために特定した腸領域を拡大することができる。豊富な3D画像に立脚して、その新しいデバイスは光を使って、極めて高速で詳細な検査を行う。
光でスクリーニング
まず、カメラで従来の白色光を使い、次にさらに進んだフォトニクスと光学イメージングを使って医者は、顕微的、分子的レベルで、様々なモダリティを切替えながら、組織を一段と深く見て分析する。
空間分解能、浸透深さ、分子感度を高めるために、光学イメージングコンセプトの背後にいるチームは、複数の方法を統合する新たなアプローチを採用している。つまり、OCT、多光子顕微鏡、ラマン分光学である。研究者は,すでにこれらのモダリティをスタンドアロン方法として複数の異なるアプリケーションに適用している。例えば、OCTは、通常、眼科で網膜疾患のスキャニングや診断に利用されている。
ヨーロッパにおけるガン死亡因No.2、結腸・大腸ガン(CRC)で、大陸では毎年16万人が死亡する。特別の、早期診断ツールと教育の欠如とは、十分なスクリーニングを受ける人々が人口のはわずか1/10と言うことである。
大腸ガンの診断は、医者にとってはトリッキーな手順である。ポリープの検査、大腸ガン発症につながる大腸のリッジにそって形成する細胞クラスタの検査で医者は、前ガン成長を見落とすことがよくある。ポリープが10㎜径以下、数が多い、あるいは外観がフラットであると、高いミス率に関連することがよくある、2017年の研究によると、大腸内視鏡検査で結腸・直腸ポリープの約1/5(17.2%)が見逃されている。
プロジェクトコーディネータ、Peter Andersenによると、過形成ポリープから鋸歯状病変を区別することは難しい。
「われわれのイメージング手順は、従来の白色光で医者が検査したい、疑わしい領域を特定し、さらに検査する。次に、最初OCTを使って病変深くをズームアップし、次に多光子顕微鏡で代謝情報をとる。最後にラマン分光学で、分子情報(ほぼガン細胞の分子フィンガープリント)の疑わしい病変を評価する」。
「ガン細胞は、隣接の非ガン細胞と比べると代謝が高いので、疑わしい病変周囲の血流や血管の成長が著しい。細胞長スケールでズームアップすると、われわれは血流,代謝、分子特定情報を計測して、細胞の分解能でガン病変を特定する。われわれの技術は,大腸検査では初めて、オールインワンデバイスであり、最も重要な点は、ラベルフリーである。つまり、患者に染料を注入する必要がない。あるいは疑わしい何かを警告するバイオマーカーも不要である」
「病変の早期検出によるガンとの闘いを進めることが重要である。この側面の成功は、ヨーロッパでレーザとフォトニクスにおける進行中の、強化された継続的研究に依存する。成果は、さらなる診断機能の改善となる」
PROSCOPEと呼ぶコンソーシアムは、ヨーロッパでCRCのために年に16万人の生命の半分を救うことを目標にしている。
「現在、ヨーロッパ人口のわずか14%がスクリーニングプログラムに参加している。不便なツール、不十分な教育、意識のためである。早期介入により、われわれはもっと多くのことができ、もっと多くの命を救え、ヘルスケアコストを下げられる。PROSCOPEは、この病気への取組で重要なステップである」(Andersen)。
2024年に完了し、PROSCOPEプロジェクトは、ウィーン医科大学の臨床医で将来の治験を行う。
(詳細は、https://www.photonics21.org/)