June, 30, 2014, Cambridge--MITの神経化学者は、光遺伝学を動物の脊髄に適用して筋肉の動きを制御できることを初めて実証した。この技術により、光でニューロンの電気パルスを制御できる。
MIT研究所Emilio Bizzi教授の研究チームは、神経活動を促進する感光性タンパク質を脊髄の一部に挿入したマウスを調べた。研究チームがその動物たちの脊髄に青色光を照射すると、その後ろ足が完全に機能停止した、ただし可逆的である。
この研究では、MITのMcGovernブレインリサーチ研究所のポスドク、Vittorio Caggiano氏とBizzzi教授が、光遺伝学を用いて抑制介在ニューロンの機能を調べた。このニューロンは、脊髄の他の多くのニューロンと回路を形成している。これらの回路は、手足からの感覚情報が入力されると、脳からの命令を実行する。
これまで、神経科学者は、電気刺激か、薬学的介入を利用してニューロン活動を制御していた、またニューロン機能を少しずつ引き出そうとしていた。これらのアプローチは、脊髄について多くの情報を明らかにしたが、ニューロンの特定部分を研究するために制御できるほどの正確さはない。
一方、光遺伝学によって研究者は、遺伝的にプログラミングして感光性のタンパク質を発現できるようにすることで特定タイプのニューロンを制御することができる。これらのタンパク質はオプシンと呼ばれ、イオンチャネルまたはポンプとして機能し、ニューロンの電気的な活動を制御する。あるオプシンは光を照射すると活動を抑制し、別のオプシンは活動を刺激する。
「光遺伝学によって、互いに似た特徴を持つ細胞組織を取り込む。組織がどのように動くかを理解することができるという点では、大きな転換になる」とBizzi氏は言う。
脊髄の抑制ニューロンは、筋肉の収縮を抑制する。これはバランスを維持し、協調運動をするために不可欠である。例えば、リンゴを口に運ぶとき、上腕二頭筋が収縮し、三頭筋は緩和する。抑制ニューロンは、睡眠のREM段階に起こる筋抑制状態にも関与していると考えられている。
抑制ニューロンの機能をもっと詳しく研究するために研究チームは、MIT神経科学Poitras教授とGuoping Feng氏が開発した、全ての脊髄ニューロンがチャネルロドプシン2と呼ばれるオプシンを発現するように設計されたマウスを使用した。ニューロン活動の効果を観察するために脊髄に沿って異なるポイントで光を照射した。
自由に動き回るマウスで、胸椎の小さな部分の抑制ニューロンが活性化されたとき、全ての後ろ足の動きが止まった。これは、胸椎の抑制ニューロンが脊髄の末端まで抑制を中継していることを示している。また、研究チームは、抑制ニューロンの活動は手足から脳への感覚情報伝達には全く影響していないことも明らかにした。
この種の研究で光遺伝学の有用性が実証されたので、MITの研究チームは他のタイプの脊髄ニューロンの役割も調べたいと考えている。また、脳からの入力がこれらの脊髄回路にどのように影響するかについても研究する予定にしている。