March, 5, 2021, 東京--東京理科大学、国立がんセンターなどの研究グループは、近赤外光を利用したハイパースペクトル画像から消化管間質腫瘍(GIST)を識別する方法を開発した。
この研究を発展させることで、粘膜下腫瘍の鑑別診断、腫瘍の正確な範囲判断、早期発見、切除部位の最小化、術後のQOL向上につながると期待できる。
GISTは粘膜の下に生じるため、直接観察から診断することは難しい腫瘍。また、確定診断のためには超音波内視鏡下穿刺吸引法 (EUS-FNA)という特殊な方法で組織を採取し、得られた組織を免疫組織化学法で染色する必要があるため、手間と時間がかかるという問題もある。そのため、簡便にGISTを識別できる新たな手法の開発が望まれていた。
研究グループは、近赤外光を利用したハイパースペクトル画像を取得し、得られたデータを機械学習の訓練データとして用いることで、粘膜下の深部にあるGISTを識別できる新たな技術を開発した。今後さらなる研究の発展によって、粘膜深部に浸潤した腫瘍の範囲診断や腹腔鏡による腫瘍の識別が可能になると期待される。
研究成果は、Scientific Reportsにオンラインで掲載された。
(詳細は、https://www.tus.ac.jp)
研究グループ
東京理科大学生命医科学研究所の髙松利寛助教(東京理科大学・国立がん研究センタークロスアポイントメント)、同大学基礎工学部材料工学科の曽我公平教授、同大学理工学部機械工学科の竹村裕教授、国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科の佐藤大幹氏、池松弘朗医長、故金子和弘氏、同病院遺伝子診療部門長(当時病理・臨床検査科長)の桑田健、理化学研究所光量子工学研究センターの横田秀夫チームリーダー他。