June, 16, 2014, Nottingham--バスク大学(University of the Basque Country)とノッティンガム大学(University of Nottingham)の共同研究により、アルコール依存症患者の寿命を延ばす新しい薬と治療法実現に新たな道が開ける。
両大学の研究チームは、慢性的に過度にアルコールを摂取することによる、脳の構造的損傷を分子レベルで初めて特定した。具体的には、脳の前頭葉における変化を見つけ出した。前頭葉ゾーンは、最も進化した部分で、計画、戦略設計、ワーキングメモリー、選択的注意、振る舞いの制御などの実行機能をコントロールしている。この研究が、新薬や治療法誕生への道を開き、アルコール依存症患者の寿命を延ばし、アルコール依存症による死亡率を下げることになる。
研究では、UPV/EHUの医師、Luis F. Callado, Benito Morentin氏とAmaia Erdozain氏、ノッティンガム大学Wayne G. Carter氏の研究チームが、アルコール中毒/依存症と診断された20人の、死後の脳を分析した。同時に、アルコール依存症でない脳、20例も分析した。前頭葉前部皮質を調べ、研究チームはアルコール依存症患者の脳で神経細胞骨格、具体的には、αおよびβチューブリンとβⅡスペクトリンタンパク質における変化を検出した。エタノール摂取によって起こる神経骨格におけるこれらの変化は組織に、つまり接続形成能力や神経ネットワーク機能に影響を及ぼし、これは概ね認知行動や学習における変化を説明できる。
脳の前頭葉ゾーンにおいて、初めて分子レベルで検出した損傷や変化についての記述は、他の分野の研究への第一歩である。新たに提案された中でも強調すべき点は、アルコールがこれらを変化をもたらす具体的なメカニズムを明らかにすることである。これらのタンパク質の機能調整に関連する酵素がうける可能性のある変化がどんなものであるかを究明し、これらのプロセスが脳の他の部分、例えば運動機能のコントロールでも起きるかどうかを見定めることである。最終目標は、分子の変化とアルコール依存症のプロセスを結びつけることができるように、また新たな薬や治療法を生み出すことができるように、このような分子の変化を特定することである。目的は、アルコールによって生じた変化を元に戻し、アルコール依存症患者の生活の満足度を高め、アルコール中毒による死亡率を下げることにある。
脳のサンプルは、薬理学部(UPV/EHU)の神経精神薬理学研究グループのサンプル収集を利用した。
(詳細は、www.ehu.es)