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生細胞と生物の高品質3D画像を撮る簡素な方法

November, 20, 2020, Boston--ボストン大学の研究チームは、、標準的な顕微鏡を用いて様々な深さで画像を同時取得する簡素な方法を開発した。新技術は、様々な顕微鏡法に適用できるので、幅広い生物学、生体医用イメージングアプリケーションにとって役立つ。

「光学顕微鏡は、3次元の複雑な生物学的システムやプロセスの研究には不可欠のツールだった。われわれの新しいマルチフォーカス技術により生きた細胞や生命体を高コントラストで高速観察できる」とボストン大学研究チームのSheng Xiaoは説明している。

Opticaで、Jerome Mertzをリーダーとする研究チームは、標準顕微鏡で様々な深さから情報を取得する簡単で高速の新方法を説明している。新規アプローチは、ほとんどの既存システムに簡単に追加でき、容易に再現できるので、他の研究者もそれを利用することができる。

マルチフォーカス画像の取得
 標準カメラベース顕微鏡システムは、単一焦点面で鮮明な画像を取得する。様々な焦点深度で画像を同時取得するために研究者は多様な戦略を試したが、これらのアプローチは、一般に多数のカメラを必要とするか、または特殊な回折光学素子を利用して1台のカメラで画像を分割する。両方の戦略とも複雑であり、回折光学素子は製造が難しい。

「われわれは、Z-スプリッタプリズムを利用した。これは、市販のコンポーネントからアセンブリすることができ、様々なイメージング法に簡単に適用できる。例えば、蛍光、位相差、あるいは暗視野イメージングなどである」(Xiao)。

Z-スプリッタプリズムは、検出光を分割して、単一のカメラフレームで複数の画像を同時生成する。各画像は、サンプルの異なる深度で焦点が合わされている。大きなセンサ面と高ピクセルカウントを持つ高速カメラを使い、研究者は、同じセンサに多数の高解像度画像を重なることなく分布させることができる。

新しい技術で取得されたマルチフォーカス画像により、サンプルから焦点ズレ背景を、単一画像よりもはるかに正確に推定することができる。研究チームは、この情報を利用して改善3Dボケ除去アルゴリズムを開発した。アルゴリズムは、広視野顕微鏡を使うときに問題になることが多い焦点ズレ背景を除去する。

「われわれの拡張ボリューム3Dボケ除去アルゴリズムは、イメージングボリュームを超えてソースから焦点ズレ背景を抑圧する。これは、画像コントラストとSNRの両方を改善し、厚いサンプルに関与する蛍光イメージングアプリケーションでは特に役立つ」(Xiao)。

多様性の実証
研究チームは、一般に利用されている顕微鏡法、蛍光、位相差顕微鏡、暗視野イメージングで新しい技術を実証した。数100のニューロン、全く自由に動き回る生命体を含む大きな視野の3D画像を捉えた。また、一秒の1/100で鼓動するワムシ繊毛の高速3D画像を捉えた。これは、そのアプローチが、大視野あるいは高速を優先させる柔軟性をどのようにもたらすかを示している。

拡張ボリューム3Dボケ除去アルゴリズムの能力を実証するために研究チームは、生きたマウスの脳を含む様々な厚いサンプルを撮像した。マルチフォーカス原画像、従来型の3Dボケ除去アルゴリズムと比較してコントラストとSNRの著しい改善を観察した。チームは現在、それがより多くのイメージング法で使えるようにその技術の拡張に取り組んでいる。