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レーザが微小電子ロボットを動かす

October, 6, 2020, Chandler--コーネル大学をリーダーとするグループが、半導体コンポーネントを組みこみ、標準電子信号で、歩かせるなど、ロボットを制御できる初の微細ロボットを作製した。

これらのロボットは、ゾウリムシ程度のサイズであるが、シリコンベースのインテリジェンスを利用するさらに複雑なバージョンとなるものであり、量産可能である。また、いずれ、人の組織や血液内を動き回ることもできる。

研究成果はNatureに発表された。

その歩行ロボットは、最新の反復であり、多くの面で、Cohen と McEuenの以前のナノスケールバージョン、顕微鏡センサからグラフェンベースの折り紙マシーンへの進化である。

その新しいロボットは、約5µm厚、40µm幅、長さは、40~70µmの範囲。それぞれ、基本的に胴と脳として機能するシリコンPVsで造られた単純回路、および脚として機能する4本の電気化学アクチュエータで構成されている。

その微小マシーンは簡単なように見えるが、脚の作製は大変な作業だった。

「そのロボットの頭脳関連では、既存の半導体技術を取り入れ、それを小さく、遊離可能にしたセンサがある」とMcEuenは説明している。
 同氏によると、脚は以前には存在しなかった。小さく、電気的に活性化できるアクチュエータがなかったからである。したがって、研究チームは、それを開発し、エレクトロニクスと組み合わせた。

原子層堆積(ALD)とリソグラフィを使い、チームはわずか数10原子厚のプラチナストリップから脚を作製した。これは、片側が薄い不活性チタンで覆われている。プラチナにプラス電荷を印可すると,負電荷イオンが周囲の溶液から剥き出しの表面に吸収され、電荷を中和する。これらのイオンが、剥き出しのプラチナを引き延ばし、ストリップが曲がる。ストリップは超薄型であるので、その材料は、壊れることなく、鋭く曲がる。3D脚の動きの制御に役立つように、チームはストリップ上面に硬質ポリマパネルを形成した。パネル間のギャップが、膝、踝のように機能し、脚が制御されたように曲がり、こうして動きが生まれる。

研究チームによると、様々なPVsにレーザパルスを照射することでロボットを制御する。各パルスが別々の脚を充電する。前と後のPVsの間でレーザを前後に切り替えることでロボットは歩行する。

「ロボットの機能は初歩的であり、速くないが、多くの計算能力を必要としない。標準マイクロチップ製造に適合させたわれわれのイノベーションは、これらのマイクロロボットのスマートで、高速、量産にドアを開く。これは、微小ロボットで、われわれがエレクトロニクス組込ができる全体のほんの第一弾である」とCohenは語っている。

確かに、そのロボットは、ハイテクであるが、低電圧(200mV)と低消費電力(10nW)で動作し、そのサイズにしては強力でロバストである。標準的なリソグラフィプロセスで造られているので、ロボットは同時製造可能である。4インチシリコンウエファ上に約100万のロボットが収容される。

研究チームは、より複雑なエレクトロニクスやオンボードコンピュテーションでロボットの強化を検討している。いずれ、大群のマイクロロボットが這って進み、器具を構築し、血管を縫合し、あるい大群が派遣されて大きな帯状の人の脳をプローブするようになる改善である。

「微小ロボットを制御するとは、自分自身が縮小できることに近いかもしれない。このようなマシーンが、小さすぎて目に見えないあらゆる種類の素晴らしい世界に、われわれを連れて行くと考えている」と研究の主筆、Miskinは話している。

(詳細は、https://news.cornell.edu)