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光に反応するように耳の細胞を変えることで聴覚を回復

August, 18, 2020, Göttingen--聴覚を回復する人工内耳は、電気の代わりに光に反応するように人の耳の細胞を遺伝子操作することで改善できることが、ラットの研究で明らかになった。

ドイツ、ゲッティンゲン医科大学のTobias Moserは、「これは、現在われわれが電気インプラントで得られるものよりもはるかに優れている」と言う。

われわれの聴覚は、耳の渦巻き管内部の有毛細胞に依存して、様々な周波数の音を検出し、適切な聴覚神経細胞を刺激する。これら有毛細胞の損傷が難聴の一般的な原因である。

人工内耳は、神経細胞を電気的に刺激し、有毛細胞をバイパスすることで部分的に聴覚を回復できる。しかし電気信号は、同時の多くの神経細胞も刺激するので、結果としての音は、あまり詳細ではない。つまり低解像度の画像と同じようなオーディオである。

Moserによると、人工内耳をインプラントした人々は、雑音の多い環境ではスピーチをよく理解できず、以前と同じように音楽を楽しむことができないかもしれない。

問題は、渦巻き管内部の塩分のある液体が電気を伝導することである。したがって信号を閉じ込めることが難しい。代わりに、Moserのチームは光を使って神経細胞を刺激する光人工内耳を開発した。

言うまでもなく、神経細胞は普通、光に反応しない。しかし、遺伝子操作により光に反応するように変えることができる。光遺伝学は、研究では幅広く利用されており、視覚の回復、神経症状の処置の方法としてテストもされている。これまでの動物や人間の研究から安全であると見なされている。

研究チームは、遺伝的に聴覚神経細胞を操作した聴覚損失動物の渦巻き管を1本の光ファイバを使って刺激することで、そのコンセプトを以前に確認している。今回、チームはラットで10個のLEDチップを持つインプラントをテストした。

操作された聴覚神経細胞を持つ難聴ラットにインプラントが挿入されると、ラットは聴覚消失になる前に十分に訓練された音に反応した。このことは、インプラントによって動物が聞いたことが全く同じであることを示している、とMoserは言う。「これは非常に大きな成果である」。

人間に対しては、チームは64個の光源、つまりチャネルを持つインプラントを作製する予定である。

チームは、2025年ごろに人間のトライアルを始めたいと考えている。