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“光生検”切らずにその場でがんをすぐ診断

August, 5, 2020, 大阪--大阪大学大学院医学系研究科の石井優教授(免疫細胞生物学)、松井崇浩助教(病態病理学)、木村正教授(産科学婦人科学)、九州大学大学院医学研究院の加藤聖子教授(婦人科学産科学)、株式会社ニコンの清田泰次郎氏らの研究グループは、子宮頸部を生きた組織のまま、ホルマリン固定や染色を行わずに、リアルタイムに3次元で観察できる方法を開発した。
 組織の切り取りが不要なこの観察法と、人工知能(AI)による画像解析を併用することで、子宮頸がんやその超早期病変を、傷つけずに定量的に分類することができる。これらの結果は、「切り取らずに」「その場で」診断できる、新たながん診断装置の開発に役立つと期待される。

研究成果は、「Cancer Research」オンライン版に、公開された。

 研究グループは、最新の生体可視化ツールである多光子励起顕微鏡を用いて、ヒトの組織の観察を行った。これは、近赤外線により生じる組織深部の蛍光を検知し、組織を傷つけることなく、深い部位まで可視化できる技術。研究グループはこの技術を応用し、組織の切り取りや、ホルマリン固定や染色などの処理を一切行わずに、生きた状態の子宮頸部組織を3次元で観察できる方法を開発した。超短パルスレーザを用いて近赤外線を組織に当て、非線形光学現象による蛍光シグナルを利用して可視化する。この方法を用いると、組織を切り取ったり染色試薬を用いたりしなくても、”細胞の核”と”細胞周囲の線維”を詳細に描出することができた。従来の病理診断と比べて、低侵襲で(=体の負担が少なく)、しかもリアルタイムに組織画像を得られるのが、この方法の大きな特徴。さらに、この画像をAIで解析することで、子宮頸部の正常組織、上皮内がん(非浸潤がん)、浸潤がんの画像を、定量的に分類できることも分かった。

(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)