June, 17, 2020, Santa Clara--Illinois ECEとColorado State Universityの協力により、マイクロスケールで組織や他の生体サンプルの可視化を容易にするハーモニック光断層写真という新しい3Dイメージングが実現した。Illinois ECE教授、Gabriel Popescuと院生Chenfei Huは、生体サンプルを可視化する新しい3Dイメージング技術を開発した。
同技術は、ガンや他の病気の診断支援に利用できる。その技術は、光パタンを計測する断層情報の利用を基にしてサンプルの3D画像を生成する。物体の内部を覗き見ることができる3D画像は、様々なアプリケーションに重要な情報を提供する、例えば医療診断、油井や航空機翼の亀裂の発見、トモグラフィックX線の利用、超音波法。
論文「非線形構造のハーモニック光断層写真」はNature Photonicsに発表された。
ベックマン先端科学技術研究所定量光イメージングラボ(Quantitative Light Imaging Laboratory)ディレクタ、Popescuによると、同研究所は生きた細胞と組織の研究のためにホログラフィックデータの利用を専門にしている。「ホログラフィックデータと新しい物理学モデルを組み合わせることで、この技術を非線形サンプルに拡大したかった」。
研究チームは、組織の撮像の仕方を記述する理論モデルを開発し、3Dイメージングのための独自の機能を発見した。これは、ぼやけた、焦点外れのレーザ光でサンプルを照射することで、直観に反して現れた機能である。チームは、データを収集するために、コロラド州立大学(CSU)で新しいシステムを設計、構築した。そのデータを次に、コンピュータイメージングアルゴリズムで再建した。実験は、実験予測を確認する光トモグラフィの全く新しい形態を検証した。
「この新しい断層イメージングの実験的立証のカギは、CSU院生、Keith Wernsingが設計、作製したカスタム、ハイパワーレーザである」(CSU電気コンピュータ工学教授、Randy Bartels)。
院生、Chenfei Huによると、研究チームは、2つのサンプルを使って理論検証を行った。「第一は、非線形信号生成に一般的に利用されている製造された結晶。第二は、われわれが筋肉組織を利用する生体サンプルだった」。
「この新しいタイプの断層イメージングは、現在、多くのタイプのガンのリポーターとして用いられている、コラーゲン繊維方向定位の理解で、2D画像に依存している広範な研究にとって非常に重要である」(CSU顕微鏡コアファシリティディレクタ、電気工学研究者、Dr. Jeff Field)。
「一般的なレーザスキャニング顕微鏡と違い、HOT(Harmonic optical tomography)のさらなる利点は、そのスピードが振動や不要な顕微鏡ドリフトの影響をあまり受けない点である、このため画像が鮮明になり、再現性が増す」と論文の共著者、Kimani Toussaintは話している。