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新たなレーザ処理で新しい金属表面が即時の殺菌性能

May, 7, 2020, West Lafayette--細菌性病原体は、表面で何日も生きることが可能。ドアノブなど、頻繁に触れる表面が、即時に病原体を全滅されることはできるか。

パデュー大学(Purdue University)のエンジニアは、金属表面に多様なテクスチャを付与するだけで、どんな金属表面でも即時殺菌力を持つようにするレーザ処理法を開発した。

Advanced Materials Interfacesに発表された研究では、研究者は、この技術によって銅表面が直ちにMRSAなどのスーパーバッグを全滅させることを実証した。

パデュー材料工学准教授、Rahim Rahimiは、「銅は、何世紀もの間、抗菌性材料として用いられてきた。しかし、一般に、自然の銅表面が細菌を全滅させるには何時間もかかる」とコメントしている。

「われわれは、銅表面の殺菌特性を効果的に強めるワンステップレーザテクスチャリング技術を開発した」。

その技術は、細菌よりもはるかに小さなCOVID-19に関わるウイルスを殺すようには、まだ調整されていない。

しかし、この研究の発表以来、Rahimのチームは、この技術の他の金属やポリマでの試験を開始した。これらは、整形外科用インプラント、慢性創傷用のウェアラブルパッチなどのデバイスで細菌の増加やバイオフィルム形成のリスクを減らすために使用されている。

インプラントを抗菌性表面にすると、感染や抗生物質に対する耐性の広がりを低減できる。インプラント表面を殺菌するために抗生物質を使用する必要がなくなるからである。

その技術は、抗菌特性を持つことで知られている金属合金にも適用される可能性がある。

銅などの金属は通常、実に滑らかな表面を持ち、そのためにその金属が接触によって細菌を殺すことが難しくなっている。

研究チームが開発した技術は、レーザを使って金属表面にナノスケールのパタンを形成する。パタンは、表面積を増やすラギッドな構造を作り、これによって細菌がその表面に当たってその場で破裂する機会を増やす。

過去の研究者は、金属表面の抗菌特性を強化するために様々なナノマテリアルコーティングを用いてきたが、これらのコーティングは滲み出る傾向があり、環境に対して毒性が生ずる。

「われわれは、選択的にミクロンおよびナノスケールのパタンを直接標的面に形成するロバストなプロセスを実現した。銅材料の大部分を変えることはない」とRahimと話している。同氏の研究室は、ヘルスケアの課題に対処する画期的な材料、バイオメディカルデバイスを開発している。

レーザテクスチャリングには二重の効果がある。その技術は直接接触を改善するだけでなく、表面をより親水的にする。整形外科用インプラントには、そのような表面により骨細胞がより強力に張り付き、インプラントと骨の結合を改善する。研究チームは、線維芽細胞でこの効果を観察した。

その技術は簡素でスケーラブルであるので研究チームは、既存の医療デバイス製造プロセスに容易に変換されると見ている。