April, 3, 2020, University Park--ペンステート(Penn State)とノースイースタン大学(Northeastern University)の研究者によると、環境と人の健康モニタリング用の高感度、ウエアラブルガスセンサが、間もなく商品化される。
そのセンサデバイスは、感度増強自己加熱メカニズムを利用し、既存ウエアラブルセンサの改善となる。この種の他のデバイスは、外部ヒーターを必要とする。加えて、他のウエアラブルセンサは、クリーンルーム環境で、高価で時間のかかるリソグラフィプロセスを必要とする。
ペンステートの材料科学・工学Huanyu Cheng准教授は、「ナノマテリアルの大きな表面積対体積比により高感度になるので、人々はセンシングにナノマテリアルを使いたがる。問題は、ナノマテリアルは、信号が配線で簡単に取り出せないことである。つまり、手の指のような、互いに組み合わさった電極が必要になる」と説明している。
研究チームは、レーザを使って、ガス、生体分子、将来的には化学物質を検出するセンサ用に、グラフェンに似た、高多孔質のナノマテリアルシングルラインをパタン化する。そのデバイスプラットフォームの非センシング部分に、チームは銀で被覆された一連の曲がりくねったラインを造る。その銀に電流を印可すると、ガスセンシング領域は、電気抵抗が非常に大きいために、局所的に加熱する。これにより曲がりくねったヒーターは不要になる。その曲がりくねった線によりデバイスは、スプリングのように伸び、ウエアラブルセンサ用に、身体の曲げに適応する。
この研究で使用されたナノマテリアルは、還元グラフェンオキシドと二硫化モリブデン、つまり酸化亜鉛コアと酸化銅シェルで構成される金属酸化物複合であり、ガスセンサ物質に幅広く使用されている2種、低次元、金属酸化物ナノマテリアルである。
「CO2レーザを使い、われわれのプラットフォームに簡単に多重センサを作ることができる。われわれは数十から数百のセンサを考えている。それぞれが、電子ノーズのように、異なる分子に対して選択性があり、複雑な混合物の複合成分を解読する」とChengは話している。
研究者によると、米国防衛脅威緩和機関は、神経や肺を損傷する化学薬品や生物薬品を検出するために、このウエアラブルセンサに関心を持っている。医療機器メーカーもチームと協働して患者の健康モニタリングのために製造を増やそうとしている。これには、人体からのガスバイオマーカー検出、肺に影響を及ぼす環境汚染物質の検出が含まれる。
論文の共著者、博士課程学生、Ning Yiは、「この論文でわれわれは、二酸化窒素検出ができることを示した。これは自動車排ガスで生ずる物質である。また、二酸化窒素とともに、二酸化硫黄の検出もできる。これは酸性雨の原因。これら全てのガスは、産業安全性で問題になり得る」と話している。
研究者によると、次のステップは高密度アレイの作製と、信号改善のアイデアを試すこと、さらにセンサの選択性を高めること。これは、マシンラーニングを使い、プラットフォーム上の個々の分子の明確な信号を同定することになる。