December, 18, 2019, 東京--東京農工大学大学院工学研究院先端機械システム部門の花崎逸雄准教授、埼玉大学の吉川洋史教授、奈良先端科学技術大学院大学の杉山輝樹客員教授らは、溶液中で分子が結晶化する過程について、レーザを照射して生じる力で核生成の場所を操り、その過程を捉えた顕微鏡動画を解析することにより、動画の目視ではわからない核生成前の分子群の様子を可視化することに世界で初めて成功した。ここで得られる知見は今後、多様な分子の結晶化が欠かせない創薬の産業や材料科学・生物・医学への応用が期待される。
研究成果
溶液にレーザを照射することで光の力により分子群を集めて結晶が現れる場所を制御し、顕微鏡とカメラにより得られる動画データからブラウン運動の激しさを解析することによって、その動画を目視で確認するだけでは結晶が現れてから初めて変化が認識できるのに対して、結晶が現れる前からレーザの力により溶液中の溶質分子から集まった状態が空間的にも時間的にも不均一なパターンを形成する様子を可視化することに世界で初めて成功した。顕微鏡の観察領域は一辺が60µm弱であり、溶液の種類や濃度や時間経過によって分子群が観察領域全体に広がっていたりレーザ照射の焦点近傍に集中していたりする様子が捉えられた。直接可視化したのはブラウン運動の激しさであるため、そこからおよその粘度を推定し、水溶液中で結晶核生成前の溶質分子群が形成する状態は、ハチミツに匹敵する高い粘度を持つことまでわかった。
(詳細は、http://www.tuat.ac.jp)