December, 16, 2019, 大阪--理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター合成生物学研究チームの上田泰己チームリーダー、松本桂彦研究員、三谷智樹研究生(大阪大学医学部附属病院医員)、堀口修平研修生らの共同研究グループは、組織透明化技術「CUBIC」に適し、新たに開発した高速イメージング技術「MOVIE」と高速データ解析技術により、透明化した臓器内の全ての細胞を解析する「全細胞解析」を実用化し、これを用いてマウス脳を構成する約1億個の細胞を解析することに成功した。
研究成果は、全細胞解析の生物学・医学分野への応用を可能にし、次世代の研究基盤になると期待できる。
あらゆる生命現象や病気の全容解明には、臓器に存在する全ての細胞一つ一つをカタログのように整理・解析する全細胞解析が不可欠。しかし、従来法では解析に時間がかかるという難点があった。
今回、共同研究グループは、透明化されたサンプルの3次元撮影を高速化するために、MOVIE-scan、MOVIE-skip、MOVIE-focusからなる高速イメージング技術「MOVIE」を開発し、これらを用いた高速かつ高解像な「光シート蛍光顕微鏡(MOVIE顕微鏡)」を作製した。その結果、透明化されたマウス全脳を従来の5分の1以下にあたる5~12時間で高解像に撮影できるようになった。さらに、取得した画像データに対してCPUとGPUの並列計算に最適化したアルゴリズムを開発し、2~8時間での全細胞の検出・解析を可能にした。
研究成果は、Nature Protocolsに掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp/)