December, 4, 2019, Raleigh--ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)の研究チームは、バイオ製造プロセス中に生きた細胞を整列するために超音波を使い培養組織の特性を改善する技術を開発した。
「われわれは、生細胞をプリントすることで膝インプラントなど医療製造物を造れる点に到達した」と論文の共同著者、Rohan Shirwaikerはコメントしている。同氏は、NC State’s Edward P. Fitts Department of Industrial & Systems Engineeringの准教授。「しかし問題は、プリントされている細胞の組織化であった。目的は、人工組織が自然組織をより厳密に模倣することである」。
「今回、われわれは、超音波アシストバイオ製造(UAB)という技術を開発した。これによりわれわれは、バイオプリンティングプロセス中に細胞を3Dマトリクスに整列することができる。例えば、患者の元の半月板により近い膝半月板などを造ることができる。これまでのところ、広範な人工筋骨格組織向けに細胞を整列させられるようになった」。
細胞を整列させるために、研究チームは、超音波チャンバーを構築した。これにより超音波は、バイオプリンタが生細胞をプリントする領域を横断することができる。この超音波は、一方向に進み、次に反射されて元に戻ることで「定在超音波」を形成する。その音波は、細胞を効果的に列に集め、超音波と反射波が相互に交差するところで整列する。
「われわれは、超音波のパラメータ、周波数や振幅などを制御することで細胞の整列特性をコントロールできる」とShirwaikerは言う。
UAB技術の実行可能性を実証するために研究チームは、膝半月板を造った、細胞は、正に自然の半月板のように半月状に整列していた。
「われわれは、細胞がプリントされる際に、層ごと、組織の全体を通して細胞を制御することができる。また、他の整形外科軟組織、靱帯や腱にとって特に重要な仕方で細胞を整列できることも示した」と同氏は話している。
研究チームは、超音波パラメータの組合せによっては、細胞が死ぬことも確認した。
「これは重要である。組織パフォーマンス改善のためにできることと、生細胞を維持するために回避する必要のあることの両方を明確に理解できるからである」とShirwaikerは話している。
その目的のために、チームはコンピュータモデルを作成した。これによりユーザは、バイオファブリケーションプロセスを始める前に任意の所定パラメータを予測できる。
UAB技術の他の利点は、それが比較的安価なことである。
超音波装置設定の一回限りのコストがあるが、これは市販の技術を使うことがてぎる。それ以降、超音波コンポーネントの運用コストは無視できる程度である。また、UAB技術は、ほとんどの既存バイオプリンティング技術といっしょに使うことができる。
研究チームはUAB技術の特許を申請している。
論文は、Biofabricationに発表された。