Science/Research 詳細

顕微鏡を強化するユニバーサルアルゴリズム

September, 20, 2019, Lausanne--スイス連邦工科大学(EPFL)研究チームは、超高解像度顕微鏡が単一画像ベースで最大解像度で動作するかどうかを決定できるアルゴリズム開発した。その方法は、すべてのタイプの顕微鏡に適応可能であり、いずれ自動化モデルの標準機能になる。
 30年ほど前、超解像度顕微鏡が登場した。そのお陰で研究者は、細胞下の構造、タンパク質、生きた組織を前例のない精度で見ることができる。この顕微鏡は、蛍光を計測することで動作する。蛍光は、ある化合物が自然に、あるい人工の蛍光体によって発光する、また蛍光体のさまざまな量子特性を利用することで発光する。これにより、解像度は回折限界によって課せられたよりも小さくなる。問題は、使用されている特定装置やその設定によって画像品質が変化することである。例えば、レーザの強度がいかに強力か、個々のコンポーネントがどのように整列されているか、さらに研究対象のサンプルの特性により画像品質が変わる。 
 工学部のAleksandra RadenovicをリーダーとするEPFLのナノスケール生物学研究所のチームは、単一画像をベースにしてわずか数秒で顕微鏡の解像度を推定できるアルゴリズムを開発した。そのアルゴリズムの結果は、顕微鏡が、どれだけ全性能を出しているかを示すことができる。これは、研究室に登場し始めた自動化顕微鏡には特に役立つ。研究成果は、Nature Methodsに発表された。

単一画像
 チームは、アルゴリズムのベースにフーリエ変換を用いたが、単一の画像から可能な限り多くの情報を抽出するように、それを改良した。
 そのアルゴリズムは、わずか数秒で計算し、1個の数字を生成する。「研究者はこの数字を顕微鏡の可能な最大解像度と比較して、顕微鏡がさらに改善できるか、あるいは実験条件を変更するかを見て、解像度の進化の程度を観察できる」と論文の主筆、Adrien Desclouxは説明している。
 そのアルゴリズムは、超高解像度モデルを含む、どんな種類イメージング法でも利用可能である。「われわれの技術は、特に新興世代の自動化顕微鏡にとって有望である。ここではコンピュータがすべての設定を調整するからである」とRadenovicはコメントしている。同氏のラボのアルゴリズムは、研究者が、単一画像から顕微鏡の解像度を推定できる初めての技術である。以前は2つの画像が必要だった。また、画像が正しく前処理されていないと、その結果の不確定性は高かった。
 チームの発見が大規模に利用できるように、そのアルゴリズムは、オープンソースImage プラグインとして利用可能になっている。研究者は、そのツールをダウンロードし、直接そのアルゴリズムの推定を入手できる。アルゴリズムは、顕微鏡がどの程度、その最高解像度で動作しているかを示す。「われわれのアルゴリズムは、汎用的である。1つの画像しか必要としないので、現状では動的プロセスの観察時には難しいが、われわれのアルゴリズムは、画像条件の高速最適化には特に適している。また、最先端の画像再構成アルゴリズムの最適化のためのフィードバックとして、その方法は、画像処理に適用できる」とDesclouxは結論づけている。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)