September, 19, 2019, Cambridge--ケンブリッジ大学の研究チームは、人工の「カメレオンスキン」を開発した。これは、光に晒すと色を変え、光学迷彩や大規模ダイナミックディスプレイなどのアプリケーションで使える。
チームが開発した材料は、ポリマーシェル内で、金被覆微小粒子でできており、オイル内で微小水滴に押し込められている。光や熱に晒されると、粒子がくっつき合い、材料の色を変える。研究成果は、Advanced Optical Materialsに報告された。
自然界では、カメレオンやイカなどの動物は、色素体により色を変えることができる。色素を動き回らせる収縮繊維が皮膚細胞にある。色素は広がってその色を示す、あるいは収縮して細胞を透明にする。
ケンブリッジの研究チームが開発した人工色素体は、同じ原理に立脚しているが、収縮繊維の代わりに、その色変更機能は光を活用したナノメカニズムに依拠している。つまり、その「細胞」は微小な水滴である。
その材料が32℃以上に加熱されると、そのナノ粒子が、瞬く間に大量の弾性エネルギーを蓄積する、ポリマーコーティングが全ての水を放出し、潰れるからである。これは、ナノ粒子をタイトな塊に結合させる効果となる。その材料が冷却されると、ポリマーは水を取込み広がる。金のナノ粒子は、スプリングのように、強力に、素早く押し分けられる。
「ナノ粒子を微小水滴にロードすると、われわれは、そのクラスタの形状とサイズをコントールすることができ、動的に色を変えられるようになる」とケンブリッジのCavendish Laboratory、Dr Andrew Salmonは言う。
ナノ粒子が結合集団となっているとき、ナノ粒子の形状によってどの色が現れるかが決まる。ナノ粒子が広がっているなら、それらは赤、結合集団となっているとき、ダークブルー。しかし、水の小滴も粒子クラスタを圧縮してクラスタにするので、相互に陰で覆い、クラスタ状態はほぼ透明になる。
現在、ケンブリッジのチームが開発した物質は単層であるので、単色に変えられるだけである。しかし、多様なナノ粒子物質や形状を追加の層に使って、完全に動的な物質、実際のカメレオンスキンのようにすることができる。
研究チームは、藻のボルボックスと同じように簡単な方法で、その人工細胞が「泳」:げることも観察した。小滴の片端に光を照射すると表面が光の方に剥がれ、それを前に押しやる。もっと強い光を照射すると、高圧バブルが形成されて小滴を表面に沿って押す。
「この研究は、生物模倣にナノスケール技術を利用する大きな前進である。われわれは、数メートルの色が変わるシートを実現できるように、このロールツーロールフィルムを再現しようとしている。パターン投影を利用することで、光誘導「遊泳」を使い小滴を集めることを計画している。どんな集団挙動が生まれるかを見ることは、非常にすばらい」とSean Cormierは話している。
(詳細は、https://www.cam.ac.uk)