July, 26, 2019, 東京--東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の小関泰之准教授を含む共同研究グループは、細胞内生体分子を光学的に検出する誘導ラマン散乱(stimulated Raman scattering, SRS)顕微法において、高速波長切り替えの可能なレーザ光源を適用することで、4つの分子振動周波数におけるSRS信号を高速に取得する技術を開発した。
また、この技術をマイクロ流体チップによる細胞位置制御技術と組み合わせることにより、1秒あたり最高140細胞の多色SRS画像を取得し、数千〜数万個の細胞内に含まれる脂質や多糖類などを蛍光標識せずに画像化する技術の開発に成功した。
この技術によって多数の細胞の分子振動画像をビッグデータとして取得することが可能になるとともに、人工知能の一種として注目される深層学習(ディープラーニング)を用いることで、微細藻類細胞、血液細胞、がん細胞の多色SRS画像を解析し、分類が可能であることを実証した。
この技術によって、膨大な数の細胞のひとつひとつの細胞に含まれる生体分子の無標識画像化が可能になり、物質生産効率の高い細胞のスクリーニング、再生医療に向けた細胞品質評価などへの応用展開が期待される。
研究成果は、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS、米国科学アカデミー紀要)のオンライン版で公開された。
(詳細は、http://www.t.u-tokyo.ac.jp/)
研究グループ
東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻の小関泰之 准教授、鈴木祐太元学振特別研究員、小林航也 元修士課程学生、東京大学大学院理学系研究科化学専攻の合田圭介教授、脇坂佳史 元博士課程学生、東京大学、科学技術振興機構、名古屋大学、中央大学、がん研究所、筑波大学、理化学研究所、台湾国立交通大学を含む。