May, 21, 2019, Washington--元はNetflixの2009映画選好予測コンペのために開発されたアルゴリズムをフランスの研究チームは再利用して、前例のないスピードで生体組織の古典的なラマン分光画像を撮る方法を開発した。その進歩により、腫瘍検出、組織分析などの臨床アプリケーション向けの簡素なラベルフリーイメージンク法を実用化することができた。
Opticaで、研究グループは、圧縮イメージングとして知られるコンピュータイメージングアプローチが、取得されるラマンスペクトルデータ量を減らすことでイメージング速度を高速化できることを報告している。一般には取得に数分かかる画像を数10秒にイメージング速度を上げることを実証し、将来的には1秒以内が達成可能であると研究グループは主張している。
研究グループは、一般にラマン分光に必要なデータの一部だけを取得し、欠落情報をNetflix映画選好でパタン検出のために開発されたアルゴリズムで満たすことで、この偉業を達成した。そのアルゴリズムは、Netflixの100万ドルを獲得しなかったが、他の実世界ニーズを満たすために使われた。今回は、生物学的イメージング改善のために必要だった。
「圧縮ラマンアプローチは、これまでに報告されていたが、化学的な複雑さのために、生物組織に使用できなかった。われわれは、圧縮イメージングとコンピュータアルゴリズを組合せ、医者が患者の診断のために使用する画像を迅速に、面倒な手動の後処理なしで提供できるようにした」とフランス高等師範学校(École Normale Supérieure)のチームリーダー、Hilton de Aguiarは説明している。
ラマン分光は、複雑なサンプルの化学組成を判断するためにサンプルの準備を必要としない非侵襲的技術。ガン細胞の特定や、病気の組織分析に有望であるが、生物標本の動力学を捉えるには画像取得速度が遅すぎる。分光イメージングで生成される膨大なデータの処理も時間を喰う、特に大面積の分析には時間がかかる。
「開発した方法で、われわれは2つの課題に同時対処した。スピードの向上と、分光画像から有益な情報をより簡単に取得する方法の導入である」とAguiarは話している。
速度の最適化
イメージング処理の高速化のために、研究チームはラマンシステムをそのアルゴリズムに最適化した。これに、従来の設定で使用されてる高価で遅いカメラを、空間光変調器として知られている安価で高速なデジタルマイクロミラーデバイスで置き換えた。このデバイスは、高感度シングルピクセルディテクタで検出された波長グループを選択し、取得とともに画像を圧縮する。
「非常に高速な空間光変調器で画像を取得すると、データビットを素早くスキップすることが可能になる。われわれが使う空間光変調器は、市場の他のオプションと比較して、数ケタ安価に高速化でき、全体的な光学セットアップを安価で高速する」と同氏は説明している。
研究チームは、いずれも化学的複雑性を示す脳組織と単細胞から分光画像を撮るためにラマン顕微鏡を使って新しい方法を実証した。その結果は、その方法が数10秒の速度で画像を取得し、高レベルデータ圧縮を達成し、データは64倍圧縮したことが示された。
研究チームは、新しいアプローチはほとんどの生物標本で有効であると考えているが、これを実験的に証明するために、もっと多くの組織タイプでそれをテストする計画である。臨床ツールだけでなく、その方法は、藻の特性など生物学的アプリケーションでも有用である。また、研究チームは、1秒以内の画像取得を達成するためにシステムのスキャニングスピード改善も考えている。