March, 25, 2019, Washington--ボストン大学の研究チームは、自然環境で相互作用する細胞の大群をイメージングする顕微鏡を開発した。その顕微鏡によって研究者は、生きた動物のニューロンをイメージングする新たなツールを手に入れ、様々な振る舞いの中で大規模ニューロンネットワークの相互作用の仕方を、史上で初めて観察することができる。
Opticaに発表された論文で、ボストン大学の研究チームは、新しい“multi-z”共焦点顕微鏡システムが生きたマウスの脳をビデオレート、ミリメートル以上の視野で撮像できることを示している。
細胞の大群を撮像するには、、大きな3D体積で高速に細胞、細胞以下の詳細を捉える必要がある。ほとんどのイメージングアプローチは、スピードと視野および解像度の本質的なトレードオフのために、これは非常に難しい。
「簡単に構築し、操作できる顕微鏡システムで必要とされる特徴を統合する方法を見いだした。また、それは複雑なデータ解析、画像処理を必要とせず、リアルタイムで結果を与えてくれる」と論文の筆頭著者、Amaury Badonは説明している。
3D画像ボリュームの取得
新しい顕微鏡は、細胞イメージングで一般に使用されている技術、共焦点顕微鏡をベースにしている。共焦点顕微鏡は、物理的なピンホールを使って焦点が外れた光をブロックし、焦点が合った光を通すことで高解像度と高コントラストの画像を生成する。しかし、3Dボリュームを再構成するために十分な2D画像を取得するためにサンプルをスキャニングするが、これは時間がかかり、膨大なデータを生み出すことになる。
マルチプレーンを同時取得するために研究チームは、1つのプレーンで細胞イメージング用の光を再利用して、サンプルで細胞のイメージング深度を深めるする方法を開発した。顕微鏡の対物レンズが部分的に照射光で満たされ、光がサンプル深くに届く拡張イルミネーションという方法を利用した。次に、完全な対物レンズを利用して、蛍光を検出すると、高解像度になる。伝統的な共焦点設定のように、1つのピンホールではなく、新しい顕微鏡は、一連の反射ピンホールを持つ。それぞれのピンホールは、サンプル内の異なる深さから、焦点の合った光を捉える。
「われわれの方法は、スピードを犠牲にすることなく、立体イメージングに拡張する一方で、共焦点顕微鏡の恩恵を受けている。拡張イルミネーションと反射ピンホールは、これまでにも利用されていたが、それらが一台の共焦点顕微鏡設定に光効率的な方法で統合されたのはこれが初めてである」とBadonは話している。
研究チームは、従来の共焦点顕微鏡よりも大規模なイメージングのために顕微鏡を調整し、またビデオレートイメージングができるように設計した。細胞機能はモニタする蛍光インジケータは一般に、数10ミリ秒のタイムスケールで動作するので、高速画像取得は、重要である。
生きた動物の神経作用をイメージング
研究チームは、線虫全体を撮像するためにmulti-z共焦点顕微鏡を利用して、それを実証した。線虫は、従来の共焦点顕微鏡では大きすぎて(500~800µm長)一度に撮れない。研究チームは、その全生命体の42のニューロンを、線虫が動いているときでも、その活動を検出しモニタした。
チームは、覚醒動物マウスの頭を固定し、脳の海馬領域撮像にその顕微鏡を使った。また体積1200×1200×100µm内のニューロン作用をビデオレートで撮像することができた。アルゴリズムを使うことで、チームは撮像した容積の926のニューロンを同定することができた。
研究チームは、その技術のスピードと到達深度の改善に取り組んでいる。また、可能な限り多目的、使いやすい顕微鏡を実現しようとしている。