December, 14, 2018, Washington--米国では、リステリア、サルモネラ、E. coliなど有害バクテリア汚染のために、2017年に100を超える食品リコールがあった。新しいセンサ設計が、いずれ、食品がスーパーマーケットの棚に並ぶ前に、食品の病原菌を容易に検出できるようになる。これにより汚染食品からよくある致死性の病気を防ぐことができるようになる。
Optical Materials Expressで研究チームは、危険なバクテリアや他の病原菌を含む多数の物質を同時に検出できるセンサの新設計を報告している。食品の安全に加えて、その新しいデザインは、広範な他のアプリケーションのためにガスや化学物質の検出を改善する。
「われわれの設計は、原子厚炭素の2D結晶、グラフェンシートをベースにしている。センサは高感度であるだけでなく、様々な物質の検出に簡単に調整できる」と中国計量大学のBing-Gang Xiaoは話している。
グラフェンの優れた光学的、電子的特性がグラフェンを、プラズモンとして知られる電磁波を使用するセンサにとって魅力的にしている。プラズモンは、光露光に反応して伝導材料表面に沿って伝搬する。関心のある物質がグラフェン表面近くにあるとき、センサの屈折率の変化の仕方で物質を検出できる。
研究チームはグラフェン固有の特性を活用して、先頃、広範なアプリケーション向けのセンサと材料を作製した。金や銀などの金属と比べてグラフェンは、より強力なプラズモン波を示し、伝搬距離も長い。加えて、グラフェンが反応する波長は、分極電圧を印加することで変えられる、デバイス全体を作り替える必要はない。しかし、以前の研究では赤外波長で動作する高感度グラフェンセンサを実証したものはない。赤外波長は、バクテリアや生体分子の検出に必要である。
その新しいセンサのために研究チームは、理論的計算とシミュレーションを行い、ナノスケールグラフェンディスクアレイを設計した。これは、それぞれがオフセンタホールを含んでいる。センサは、イオンジェルとシリコン層を含んでおり、これらは様々な物質の検出にグラフェンの特性を調整するための電圧印加に使用できる。
ディスクとホールとの相互作用が、いわゆるプラズモンハイブリッド効果を生成し、これがデバイスの感度を向上させる。ホールとディスクは、様々な波長ピークを作り、それぞれが異なる物質の存在の同時検出に利用できる。
中赤外波長を使ったシミュレーションは、新しいセンサプラットフォームが、ホールのないディスクを使うよりもガス、液体あるいは固体に存在する物質に対する感度が優れていることを示した。
研究チームは現在、ナノスケールディスクアレイを造るためのプロセス改善に取り組んでいる。これらの構造が作製される精度は、センサの性能に大きな影響を与える。
「グラフェンプラズモンハイブリッド効果が、デュアルバンド中赤外光通信デバイスの設計に役立つかどうかも研究したい」とXiaoは話している。