October, 3, 2018, 和光--理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター細胞シグナル動態研究チームの安井真人研究員、廣島通夫上級研究員、上田昌宏チームリーダー(大阪大学大学院生命機能研究科教授)、開拓研究本部佐甲細胞情報研究室の佐甲靖志主任研究員らの研究チームは、人工知能(AI)を組み込み、「細胞内1分子イメージング」を完全自動化した革新的な顕微鏡システム「AiSIS」を開発した。
細胞の分子動態の計測・解析効率の飛躍的な向上をもたらすこのシステムは、生命科学のさまざまな分野での研究を加速させるほか、1分子動態の変化を指標とした新たな薬剤スクリーニングなどへの応用が期待できる。
1分子イメージングは、分子を蛍光によって光らせることで可視化し、細胞で働く個々の分子動態を直接観察する手法。この手法は高倍率の光学顕微鏡での焦点合わせや、観察に最適な細胞の探索など、経験を積んだ研究者の手作業に頼る過程が多く、大量のデータ取得が求められる研究への利用には向いていなかった。今回、研究チームは、深層学習などの人工知能技術とロボット技術を利用し、顕微鏡の操作から薬剤添加、細胞観察、画像解析に至る一連の計測・解析過程を自動化した細胞計測システム「AiSIS」を開発した。AiSISは、1日あたり1,600個の細胞から1分子解像度の画像データを取得し、分子動態を解析できる。また、膨大なデータ解析により統計精度が向上したことで、タンパク質の動き方を指標とした薬剤の評価も可能になった。
研究成果は、『Nature Communications』に掲載された。
(詳細は、www.riken.jp)