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2D材料ベースの新世代超薄型人工網膜開発

August, 27, 2018, Boston--世界初の超薄型人工網膜の開発とテスト成功が報告された。これは、眼の不自由な人々にとって、既存のインプラント可能な視覚化技術を大きく改善するものとなる。極薄2D材料ベースの柔軟なデバイスは、いずれ、数100万の網膜疾患の人々の視覚を回復することになる。また、わずかな変更により、そのデバイスは心臓や脳の活動追跡にも使える。
 研究成果は、第256回アメリカ化学協会会議で報告された。
 テキサス大学のNanshu Lu, Ph.D.によると、これは、人工網膜実現のために数層のグラフェンと二硫化モリブデンを利用できることの初めてのデモンストレーションである。「この研究はまだ初期段階であるが、これらの材料を視力回復に使うための素晴らしい出発点である」と同氏は語っている。
 網膜は眼の奥にあり、桿体視細胞と錐体視細胞という特殊な光受容細胞を含み,入力光を神経信号に変換する。これらの刺激が視神経を介して脳に送られ、そこで視覚画像にデコードされる。
 黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症などの病気はは網膜組織を損傷、破壊し、失明あるいは完全な盲目になる。これらの病気の多くに治療はないが、シリコンベースの網膜インプラントは、人によってはわずかな視力回復をもたらすことがある。しかし、Luによると、これらのデバイスは硬く、フラットで壊れやすい。つまり、網膜の自然な湾曲を再現することは難しい。結果的に、シリコンベースの網膜インプラントでは,画像はかすみ、歪むことがあり、長期的には視神経を含め、眼の組織周辺に変形や損傷を起こす。
 Luとソウル国立大学のDae-Hyeong Kim, Ph.D.は、自然の網膜の形状と機能をよりよく模倣する薄くて柔軟な代替品を開発しようとしている。
 両氏は、2D材料、グラフェンと二硫化モリブデン、金、アルミ、シリコンナイトライドの薄い層を使い、柔軟で高密度の湾曲センサアレイを作製した。フラットにしたサッカーボール、つまり2面体表面に似たデバイスは、自然の網膜のサイズと形状に一致する。機械的な撹乱はない。
 実験室と動物試験では、デバイスのフォトディテクタは、直ぐに光を吸収し、それを柔らかな外部回路基板に透過させた。回路基板は、光をデジタル処理し、網膜を刺激して視覚野からの信号を取得するために必要な全てのエレクトロニクスを収容している。これらの研究に基づいてチームは、このプロトタイプ人工網膜は生体適合的であり、人の眼の構造的特徴の模倣に成功すると判断した。研究チームによると、それは、次世代のバイオエレクトロニック人工網膜の開発への重要なステップとなる。
 さらに続けて、Luは、機械的、光学的に感知できない電子タトゥーにこの技術を組み込む方法を研究している。それを皮膚表面にラミネートして、リアルタイムに健康情報を収集するためである。研究チームは、これらの透明電子タトゥーにトランジスタを付加して脳や心臓からの情報の増幅に役立てる。こうすることで、モニタリングや処置がより簡単になる。このような超薄型センサと電極は、不整脈検出のために心臓表面に簡単にインプラントできる。また電気刺激を心臓に送り、問題を補正することができる。
(詳細は、https://www.acs.org)