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生体分子を使い超解像度顕微鏡を実現

June, 11, 2018, Dresden--DresdenとWürzburgの研究チームは、光学顕微鏡向けに新たな方法を開発した。生物モーターとシングル量子ドットを使い、超高解像度を達成した。
 従来の光学顕微鏡の解像度は、回折という基本的物理原理によって波長の約1/2に限界づけられている。2つの物体間の距離がこの、いわゆる「回折限界」よりも小さいなら、最早視覚的にそれらを分離できず、画像は「ぼやけて「見える。数ナノメートルで光学画像を得るには、これは明らかに十分でない。
 こうした理由から世界中の研究者が、過去に複雑なコンセプトを開発してきた。目的は、回折限界を回避し解像度を高めることである。しかし、そのために必要とされる技術は相当なもので、通常、極めて特殊な顕微鏡アセンブリが必要になる。特に、光近接場の研究はまだ大きな課題がある。これは、それらが非常に局所化されていて波を遠くのディテクタに送ることができないためである。
 新しい研究で、Julius-Maximilians-Universität Würzburg (JMU) と Technische Universität Dresdenの研究者は、これらの近接場を難なく計測できることを示している。研究チームは、生物分子トランスポートシステムを使って、多くの極小光ナノプローブを表面にスライドさせた。研究成果は、Nature Nanotechnologyに掲載されている。
 「プローブとしてわれわれはいわゆる量子ドットを使った、これは小さな蛍光粒子で数ナノメートルのサイズだ」とBert Hecht教授は研究者のアプローチを説明している。
 いわゆるモータータンパク質と微小管が量子ドットを検査すべき対象に引き渡す。「これら2つの要素は、細胞間輸送システムの基本的構成要素にあるものだ」とStefan Diez教授は説明している。「微小管はチューブ状タンパク質複合体で、長さが最大ミリメートルの数十分のいくつかである。これが細胞内で主要な輸送ルートネットワークを形成する。モータータンパク質がこれらのルートを走り、1つの場所から他の場所へ細胞間ロードを輸送する」と同氏は説明している。

モータータンパク質が原動力
 研究チームはこのコンセプトを活用したが、逆順である。「モータータンパク質はサンプル面に固定されており、それらを超えて微小管を引き渡す、生体分子のある種のステージダイビングである」とHechtグループのPhD学生Heiko Großは言う。光プローブとして働く量子ドットは、微小管に付着しており、そのキャリアといっしょに動く。
 単一の量子ドットが大きな表面領域をスキャンスするには長い時間がかかるので、研究チームは大量の量子ドットとモータータンパク質を使った。これらは同時に動き、短時間で大面積をスキャンする。「この原理を使い、われわれは5nm解像度で広いエリアの局所明視野計測をした。セットアップは古典的顕微鏡に似たものを使用した」と同氏は説明している。
 研究チームは、250nm幅以下の狭いスリットにより、薄い金層でその方法をテストした。これらのスロットは、下から青色レーザ光で照射された。「これらの狭いギャップを透過する光はギャップ幅に限定されているので、高解像度光学顕微鏡の実証に最適である」とGrossは言う。
 計測中、「一群の微小管」が金層表面を様々な方向にスライドしていく。カメラを使い、輸送された各量子ドットの位置が所定の時間間隔で正確に決定できる。量子ドットがスリットの光近接場を通過すると、それがさらに強く光り、したがって光学センサとして機能する。量子ドットの直径はわずか数nmであるので、スロット内の光分布は極めて精密に決められ、したがって回折限界が回避される。
 この新しいアプローチのもう1つの素晴らしい特徴は、その長さと力強さにより、微小管が極度に直線的、予測可能な仕方でモーターコートのサンプル面を動くことである。「これにより、以前に確立された高解像度顕微鏡法と比較して10倍以上正確に量子ドットの位置を決定することができる」とDiezグループのDr. Jens Ehrigは話している。
(詳細は、www.uni-wuerzburg.de)