June, 1, 2018, Bochom--ルール大学ボーフム(Ruhr-Universität Bochum)の研究チームは、量子カスケードレーザ(QCL)を搭載した新しい赤外顕微鏡を開発した。目的は、結腸直腸ガン診断の通常臨床診断中に取得した組織サンプルを分析することである。
これまで使われていたFTIR(フーリエ変換赤外)顕微鏡は、分析にかかる時間があまりに長すぎるため、病院の診断ツールとして、まだ確立されていない。新しいレーザ技術を利用することで、研究チームは分析に必要な時間を1日から数分に短縮した。生体情報画像分析に加えて、そのIR顕微鏡は、ガン組織のラベルフリー分類を行い、完全自動化が可能である。
以前の研究で生物物理学者は、組織の分類のための診断ツールとして、FTIR顕微鏡が生体情報画像分析と組み合わせた潜在力をすでに実証していた。約20分かかる、従来の臨床迅速診断試験と違い、FTIRイメージングは丸一日かかった。現在、研究チームは、計測セットアップを著しく簡素にし、FT技術を量子カスケードレーザ技術で置き換えた。たとえで言うと、散光を発する弱い電球を、束ねた強力なレーザ光で置き換えた。
ルール大学病理学研究所と協力して、研究チームはIRイメージングを使って、結腸直腸ガンを患う患者から採取した120の組織サンプルを分析した。分析は、院内の生物物理学者が開発したアルゴリズムに基づいている。これは、組織サンプルのIR画像をコンピュータで着色するために用いられる。結果は、従来の病理組織学的分析と97%一致した。「こうしてわれわれは、計測時間を160倍短縮した」とFrederik Großerüschkampは書いている。
計測は、2つの異なる装置を用いて行われ、分析は複数のユーザが行った。これは、結果に影響を与えなかった。「その方法は、現状、非常に迅速で信頼性があり、特定のデバイスあるいは特定のユーザに依存しない」とAngela Kallenbach-Thieltgesは説明している。「これは、患者から直接取得した組織サンプルの自動分類に新たな道を開く」。
将来的に研究チームは、その方法を臨床的作業に組み込む意向である。「自動画像分析は、時間節約的な診断ツールとして配置され、その場で使用することさえ可能になる」と病理学者、Andrea Tannapfelは期待している。
結腸直腸ガンは、最も一般的な腫瘍の1つであり、早期診断により治療可能である。「研究の成果により、非常に精密な治療が実現可能であると考えられる。これは、個々の患者毎に個別化され、究極的には従来のアプローチと比べて成功すること証明されることになる」とKlaus Gerwertは結論づけている。
(詳細は、https://www.ruhr-uni-bochum.de)