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UCLA、複雑な生体組織をプリントできる3Dプリンタを開発

May, 30, 2018, Los Angels--UCLAのバイオエンジニアが、多数の材料から治療用生体材料を作製するために特別に適応させた3Dプリンタを使う技術を開発した。この進歩は、移植や外科手術で利用するための複雑な人工組織のオンデマンドプリンティングへ向けた一歩前進である。
「組織は非常に複雑な構造であるので、適切に機能する人工バージョンの作製には、われわれはその複雑さを再現しなければならない」とUCLA Samueli School of Engineering工学教授、Levi James Knight,Jr.教授は言う。「われわれの新しいアプローチは、多様な材料から作られた複雑な生体適合構造を作製する方法を提供するものである」。
研究成果は、Advanced Materialsに発表されている。

その技術は,光ベースのプロセス、光造形法を使う。これは、2つの主要コンポーネントを持つKhademhosseiniが設計した特注3Dプリンタを利用する。第1は、特注マイクロ流体チップ、サイズがコンピュータチップと同程度の小さなフラットプラットフォームで、多数のインレット(入口)があり、各々が異なる材料を「プリント」する。もう1つのコンポーネントは、デジタルマイクロミラー、これは100万を超える微小ミラーのアレイで、各々が独立に動く。
 研究チームは、多様な種類のハイドロゲルを使用した。これは、プリンタを通った後、組織に成長するスカフォールドを形成する。マイクロミラーは光をプリンティング面に向け、照射されたエリアはプリントされている3D物体の輪郭を示している。光が、材料内で形成される分子結合も引き起こす。これによりゲルは、固体材料に固化する。3D物体がプリントされると、ミラーアレイは、個々の新しい層の形状を示すように光パタンを変える。
 このプロセスは、自動光造形法バイオプリンティングに多重材料を使用する最初であり、従来の光造形バイオプリンティングに対する前進である。従来法は、1つのタイプの材料しか使わなかったからである。デモ用デバイスは、4タイプのバイオインクを使ったが、研究チームによるとプロセスは、必要なだけ、多数のインクを収容可能である。
 研究チームは、最初に、ピラミッドなど、簡単な形状を作製するプロセスを使った。次に、複雑な3D構造を作った。これは筋肉組織、筋肉と骨格結合組織の一部を真似たものである。血管網を持つ腫瘍を真似た形状もプリントした。これは、ガンを研究するための生体モデルとして使用可能である。研究チームは、プリントした構造をラットに移植しテストした。その構造は拒絶されなかった。
(詳細は、www.ucla.edu)