March, 20, 2018, Medford/Somerville--細胞の代謝変化は、病気の最初期に起こる。ほとんどの場合、その兆候に関して知ることは限界がある。通常、それが著しい損傷を及ぼした後にのみ病気が発見されるからである。
タフツ大工学部、Irene Georgakoudi教授の工学・生物学チームは、新しい光学ツールを開発し細胞への窓を開いた。ツールは、細胞内解像度で代謝を表示するとができる。造影剤で細胞をかき乱したり、分析のために細胞を破壊することもない。Science Advancesに発表されたところによると、研究チームはその方法を使って、糖尿病、ガン、心疾患、神経変性疾患で起こる特殊な代謝兆候を特定することができた。
この方法は、レーザビームで励起した時の2つの重要な補酵素(酵素と呼応して働く生体分子)の蛍光をベースにしている。補酵素、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NADH)、フラビンアデニンヌクレオチド(FAD)は、あらゆる細胞で多くの代謝経路に関係している。病気やストレスによって影響される特殊な代謝経路を見つけるために、タフツの研究チームは3つのパラメータに注目した。細胞内のNADHの空間分布によって表されるFADとNADHの比率、NADHの蛍光「減衰」、ミトコンドリア(細胞のエネルギーを生成するバッテリ)の組織。
最初のパラメータ、FADとNADHの相対量は、細胞が酸素を消費しているか、糖の代謝、あるいは脂肪分子の生成または破壊がどの程度であるかを明らかにすることができる。2番目のパラメータNADHの蛍光「減衰」は、NADHの局所環境について詳細を明らかにする。3番目のパラメータ、細胞内のNADHの空間分布は、細胞の成長とストレスに応じてミトコンドリアがどのように分裂し結合するかを示している。
Irene Georgakoudi教授は、「まとめると、これら3つのパラメータは、細胞の健全性または機能不全のより特殊な、また固有の代謝兆候を示し始める。この方法の力は、生きた細胞についての情報を得る能力である。結果に干渉する造影剤の利用、付着ラベルは不要である」と説明している。
病気の代謝兆候を非侵襲的に追跡する他の方法もある、たとえば研究で使われることが多いPETスキャン。しかしPETスキャンは、生きた組織内に深く浸透したときの情報の解像度は低い。一方、タフツ研究チームが紹介した光学的方法は、単一細胞の分解能で代謝活動を明らかにする、ただしほとんど表面近くである。
この点は必ずしも限界とは言えない。多くの病気は、ガンを含め、組織の表面で発見することが可能である。一方、多くの前臨床試験は、動物モデルで行われ、非破壊モニタリングのメリットがある3D組織が作られている。Georgakoudiのチームが開発した方法は、代謝兆候を理解するための強力な研究ツールとなる可能性がある。
(詳細は、www.tufts.edu)