December, 22, 2017, Washington--新開発の顕微鏡によって、研究者は非常に強力なツールが使えるようになり、癲癇やアルツハイマー病がニューロン伝達にどのように影響するかを研究することができる。
新しい顕微鏡は、光遺伝学技術を使って機能するように最適化されている。これは比較的新しい技術であり、光を使って、感光性タンパク質で遺伝子操作されたニューロンをコントロールし、撮像する。
「われわれの新しい顕微鏡は、神経機能について、様々な遺伝子突然変異の効果を研究するために使用できる。いずれ、候補薬剤の効果をニューロンで試験するために使えるようになる。ニューロンは、神経系疾患の人から取り出したもので、現在十分な治療法がない病気を処置するための薬剤を特定するための候補薬剤の効果を調べる」と顕微鏡を開発した研究チームのリーダー、ハーバード大学のAdam Cohenは説明している。
新しい顕微鏡、Fireflyは、6㎜径を撮像することができる。これは光遺伝学で使用されるほとんどの顕微鏡の視野の100倍以上である。1つのニューロンの電気的活性を研究するというよりも、大きなイメージング領域はニューロンの伝達機能を電気パルスで始動させ、そのパルスが数100の大きな神経回路を細胞から細胞へ動くのを観察することができる。脳では、個々のニューロンが一般に1000の他のニューロンとつながっているので、より大きなネットワークを見ることは、神経疾患がニューロン伝達にどのように影響を及ぼすかを理解する上で重要である。
Biomedical Optics Express誌でCohenのチームは、ほぼ全てが商用入手可能なコンポーネントを使って10万ドル以下の新しい顕微鏡の組立法を報告した。その顕微鏡は広い範囲を撮像するだけでなく、極めて効率的に光を収集する。これにより画像品質が高くなり、1秒の1/1000しか存続しない神経の電気パルス観察に必要なスピードが速くなる。
光を使ってニューロンの発火を見る
新しい顕微鏡は研究室で成長させた人のニューロン研究に理想的である。過去10年、たくさんの神経系疾患のために人の細胞モデルを開発してきた。これらの細胞は、遺伝子操作して感光性タンパク質を含むようにできる。これにより研究者は光を使ってニューロンを発火させ、神経伝達物質、つまりタンパク質凝集などの変量を制御できる。他の感光性蛍光タンパク質は、ニューロンから来る不可視の電気パルスを蛍光の短いフラッシュに変え、撮像、計測できるようになる。
こうした技術により研究者は、個々のニューロンの出入を研究できるが、市販の顕微鏡は光遺伝学的アプローチの潜在力を十分に利用できるように最適化されていない。この技術の溝を埋めるために研究チームは、Firefly顕微鏡を設計した。これにより、数百万の光の点を持つ複雑なパターンでニューロンを刺激することができ、ニューロン発火による電気パルスに対応する蛍光の短いフラッシュを記録することができる。
光パターンの各ピクセルは、独立に感光性タンパク質を刺激することができる。ピクセルは多くの区別できる色であるので、感光性タンパク質の異なるタイプを同時に始動させることができる。光パターンは、ニューロン全体をカバーし、ニューロンの一定範囲を刺激し、同時に多数の細胞照射に使えるようにプログラムすることができる。
「この光システムは数100万の入力、数100万の出力を提供するので、われわれはこれらの神経培養で起こっている全てを見ることができる」とCohenは説明している。
ニューロンを刺激した後、顕微鏡はカメラを使って、電気の極短パルスによって誘導された蛍光を捉えるために1秒に1000フレームでイメージングする。
広い範囲にわたり効率的に光を収集するために、ほとんどの顕微鏡で使われている親指サイズの対物レンズではなく、Firefly顕微鏡はほぼ水酸化ナトリウムサイズの対物レンズを使う。研究チームは、ニューロンを刺激する光量を増やし、発火するときにニューロンが確実に高輝度蛍光を放出するような光学的設定も利用した。
Cohenによると、顕微鏡の1つの特注素子は、ニューロンと対物レンズ間に設置した小さなプリズムである。「この重要なコンポーネントにより光は、サンプルに垂直に入るのではなく、細胞と同一面に沿って移動するようになる。これによって光が細胞の上下から材料を照射しないようにしており、実際にニューロンから来る蛍光を見にくくする背景蛍光を減らす」と同氏は説明している。
85のニューロンを同時に見る
新しい顕微鏡を使って、培養した人のニューロンからの蛍光を光学的に刺激し記録することで顕微鏡のデモンストレーションを行った。Cohenによると、ニューロンは大きな絡まったスパゲッティだった。「計測では、同時に85の個別ニューロンを解像することができた。時間は約30秒かかった」。
最初の刺激とイメージングの後に研究チームは、85の細胞のうちの79を1秒で見つけることができた。この能力は、例えば、個々の細胞がある薬剤に触れる前と後で撮像する必要がある研究には重要である。
次のデモで、研究チームは顕微鏡を使って培養された心臓細胞を伝搬する電気波をマッピングした。このことは、その顕微鏡が心拍リズムの異常を調べるために使用可能であることを示している。このような異常性は、心拍と連動する電気信号が適切に機能しない時に起こる。
「われわれが開発したシステムは、培養した細胞のような比較的フラットなサンプルを見るために設計されている。現在、われわれは、完全なままで光遺伝学を実施するシステムを開発している。これによりわれわれは、これらのニューロンが、その自然環境でどのように振る舞うかを観察することができるようになる」と同氏は話している。