October, 6, 2017, Glasgow--宇宙天文学のために開発された新しいコンパクトな冷却技術により、先進的超伝導ディテクタがガン治療、無人自動車、実用的量子通信への利用に道を開く可能性がある。
Superconductor and Technology誌に発表された論文で、グラスゴー大学(University of Glasgow)とSTFC Rutherford Appleton Laboratoryの研究チームは、シングルフォトンを検出できる過冷却ディテクタプラットフォームの開発方法を説明している。このコンパクトでロバストなプラットフォームは、まず実験室環境外で利用可能な低消費電力である。
研究は、超電導ナノワイヤシングルフォトン(SNSPD)として知られる極めて高感度の光センサの既存の開発に立脚している。SNSPDは、個々の光量子、フォトンを、赤外波長でも検出できる。SNSPDは、過去10年で量子科学における多くの前進に寄与してきたが、効果的に動作するためには絶対零度よりもわずかに上の温度(-273.15℃)にまで冷却する必要がある。高価で危険な液体ヘリウムを必要とし、達成には膨大な電力を必要とする。
グラスコーとラザフォードアブルトン(Ratherford Appleton)研究所のチームは、SNSPDs用にポータブルで、あまりパワーハングリーでないプラットフォームを開発した。これにより、その技術を利用する広範な新規アプリケーションが開かれる。
グラスコー大学工学部のNathan Gemmell氏、論文の筆頭著者によると、「最初の欧州宇宙機関(ESA)のPlanck ミッション向けに開発された技術を適用した。オランダのスタートアップ、Single Quantum BVが供給するファイバオプティク結合超伝導ディテクタを採用し、それを標準主電源で動作する、4.2K(-268.95℃)まで冷却できる微小冷却器に内蔵した」。
グラスゴー大学フォトニクス、Robert Hadfield教授は、「論文では、SNSPDsをIRシングルフォトン光検出や測距にどのように利用できるかを説明している」という。同氏は、「同システムが、1270 nm波長の赤外フォトン、励起酸素、一重項酸素形態のシグネイチャの検出にどのように利用できたかもわれわれは議論している。一重項酸素は、多くの生物学的、生理学的プロセスで重要な役割を果たす」とコメントしている。
「光線力学療法(PDT)として知られる癌の治療では、処置薬が光励起で周囲の酸素分子とエネルギーを交換し、腫瘍細胞を殺す一重項酸素ラディカルを造る」。
「われわれのもののように微小化された冷却プラットフォームは、臨床PDTにおけるSNSPDの利用をより実用的にし、ガン治療をより効果的にする可能性がある」と同氏は話している。
(詳細は、www.gla.ac.uk)