July, 7, 2017, Atlanta--最先端の3Dプリンターで作製した心臓弁モデルなら、すぐにも救命心臓弁置換に備える心臓専門医を支援できる。
ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)とPiedmont Heart Instituteの研究グループは、標準の医療イメージングと新しい3Dプリンティング技術を使って患者固有の心臓弁モデルを作製する。モデルは、実際の弁の生理的品質を真似たものである。目的は、適切な人工弁を使い、弁傍漏出として知られる一般的な合併症を避けることで、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の成功率を改善することである。
「この組織を真似る3Dプリンティング技術で患者固有のモデルを作ることができるので、漏出を予測できるかどうかを知るために、人工弁が3Dプリントモデルとどのように相互作用するかをテストできる」と心臓血管イメージング研究チーフ、Zhen Qianは説明している。
JACC: Cardiovascular Imagingに発表された研究によると、患者の心臓のCTスキャンから作製されたモデルは実際の弁と全く同じように動作し、漏出を高信頼に予測できる。
モデルは、特殊なメタマテリアルデザインで作られ、続いてマルチマテリアル3Dプリンターで作製される。このプリンターによって研究者は、プリンティングに使用されるメタマテリアルの直径と曲線波長などの設計パラメータをコントロールし、組織の生理的特性を厳密に模倣することができる。
例えば、そのモデルは、大動脈弁狭窄症の一般的な要素、カルシウム沈着などの状況を再現できる。また、動脈壁硬化や患者の心臓に特有の他の側面も再現できる。
「3Dプリンターと単一材料を使って人の器官モデルを作る以前の方法は、使用される材料の生理的特性に制約されていた。メタマテリアル設計とマルチ材料3Dプリンティングを使ってこれらのモデルを作るわれわれの方法は、心臓弁の機械的挙動を考慮に入れており、柔らかな組織の自然な歪-硬化する挙動を模擬している。こうした挙動は、エラスチンやコラーゲン、心臓弁に見つかる2つのタンパク質間の相互作用から来るものである」とChuck Zhang教授は説明している。
そのような相互作用は、3Dプリンティングプロセス中の波状の固いマイクロ構造をより柔らかな材料に埋め込むことで真似ることができる。
研究チームは、弁置換手術を行った18人の患者の医療イメージングから心臓弁モデルを作製した。モデルには、組織を真似た材料の置き換えの計測を支援するために数10の放射線不透過ビーズを付けた。
研究チームは、次にそのモデルを同じタイプ、サイズの人工弁とペアにした。人工弁は、個々の患者の弁置換処置中に介入心臓専門医が使用したものである。人の体温を保つように制御された温水テスト環境内で、研究者は人工弁をモデルに埋め込み、個々のケースで臨床処置中に使用された正確な場所に新しい弁を注意して取り付けた。
ソフトウエアを使って医療イメージングを分析。イメージングは、実験の前後に放射線不透過ビーズの位置を撮り、3Dプリントモデルと人工弁がどのように相互作用したかを判定する。これによって、弁の壁に対してブロステーシスが十分に封止していない場所を示す不整合性を探す。
研究チームの計画では、メタマテリアル設計と3Dプリンティングプロセスの最適化を継続して行う、3Dプリント弁の手術前計画ツールとしての利用を評価する。さらに、もっと多くの患者固有のモデルをテストし、分析ツールのさらなる精緻化の方法を探る。
(詳細は、www.gatech.edu)