June, 23, 2017, St. Petersburg/Leiden--オランダとロシアの研究チームが、被験者に対するMRIスキャナの局所感度を向上させる新しいメタサーフェスベースの技術を初めて開発した。
メタサーフェスは、周期的に整列された薄い共鳴ストリップでできている。患者の頭の下に置くことで、局所脳領域の取得画像が著しく高品質になる。Scientific Reportsに発表された成果によると、メタサーフェス利用により画像取得時間が潜在的に短縮でき、患者にとっての処置が楽になり、画像の解像度が向上するので早期の病気診断が可能になる。
MRIは広く用いられているが、本質的にSNRが低いので、CTや超音波スキャンと比べて画像取得時間が著しく長くなる。
研究チームは、薄いメタサーフェス、つまり伝導銅ストリップの周期構造により局所感度を強化し、人のMR画像を初めて取得した。研究チームは、これらのエレメントを薄いフレキシブル基板に取り付け、MRIスキャナの密集受信コイルアレイに組み込んだ。
「患者の頭の下にそのメタサーフェスを置くと、局所感度が50%強化される。これにより、後頭皮質の詳細なスキャンが通常の半分の時間でできる。そのような機器は潜在的にMRI検査時間を減らし、被験者は楽になる」と論文の筆頭著者、Rita Schmidtは説明している。
MRIについて、ITMO大学のAlexey Slobozhanyukは、「実際のデータをランダムノイズから分離するためにスキャンを何度も繰り返さなければならないことがある」と指摘する。「メタサーフェスを使うことで、それが不要になる。現在、検査が20分かかるなら、将来的にはわずか10分で済む可能性がある」。
「ボテクスト、つまり3D-ピクセルのサイズもSNRに制約されている。処置を加速する代わりに、代替アプローチを採用して、前と同じ時間でより詳細な画像を取得することもできる。そのような画像により、早期に腫瘍を発見することが可能になる」とプロジェクトリーダー、Andrew Webbは説明している。
これまでに、メタマテリアルを密接レシーバアレイに組み込むことに成功したものはいなかった。メタサーフェスのサイズが大きすぎたためである。新しい幅8㎜設計のメタサーフェスは、この問題の解決に役立った。
「われわれの技術を適用して、メタマテリアルベース超薄型デバイスを多様な種類のMRIスキャン向けに製造できるが、それぞれの場合において、われわれがこのプロジェクトでしたように、まずはコンピュータシミュレーションをしなければならない。MRI機器の特性がメタサーフェスの性能に影響を与えないことを確認する必要がある」とRita Schmidtは話している。