March, 27, 2017, Jena--三次元形状の生物組織の化学分析はこれまで主要な難題だった。ドイツの学際的研究チーム(Leibniz Institute for Natural Product Research and Infection Biology, and the Fraunhofer Institute for Applied Optics and Precision Engineering)は、質量分析イメージングを改善した。これにより、分子の分布が波形表面、有毛表面、膨らんだ、あるいは粗い表面で可視化できるようになる。レーザベース技術の光源は、非平面試料の形状に対応できるようにカスタマイズされている。距離センサを用いることで、表面の高さプロファイルが、実際の化学イメージングに先立って記録される。新しいツールは、新しい物の見方からの生態学的問題に答えるために使用できる。
レーザアブレーション・エレクトロスプレーイオン化(LAESI)は、質量分析イメージングで適用可能な方法。これは、生物学的試料に見つかる多くの異なる化学成分の研究に使う。レーザは、局所化熱により試料の微小部分を除去するために使用される。ある時点で、照射された試料の一部が開いて蒸気が逃げ、形成された雲は次に、帯電した霧によりイオン化され、蒸気成分が質量分析法で検出可能になる。「空間的に閉じ込められたレーザブロービングにより、ピクセルが画像を形成するように化学情報をまとめることができる」と新研究のリーダー、Aleš Svatošは技術的原理を説明している。
植物の花、葉、茎、その他の部分の化学成分の分布は、環境研究では重要である。これらの成分の多くは、植物の二次的代謝産物であり、植物が受粉媒介者を攻撃し、例えば、草食動物や病原菌を防ぐために生成される。植物がこうした成分を生成することは重要ではあるが、その分子が植物組織のどこに蓄積されるかも重要である。防御物質は植物に均等分布されているか、あるいはこの化学物質を分泌することで保護する特殊腺が存在するか。昆虫の外骨格のどの部分が毒を蓄積し、あるいは同種の昆虫との通信のためにフェロモンを蓄積するか。分子レベルで、多様な種の相互交通はどのようになされるか。
「分析の最大課題は、分析過程を通じてサンプルの構成を保つことである。たいていの場合、サンプルの準備は、サンプルの化学組成変更により結果に影響を与える。一般的な準備段階には、サンプルを薄く、フラットにスライスすることが含まれる。高信頼分析の主要パラメータである、最適レーザ集束を保証するのが平坦性であるからだ」と論文の筆頭著者、Benjamin Bartelsはコメントしている。
新しい測定装置は、実際の質量分析イメージングに先立ち、問題の表面の高さプロファイルを計測する。記録された高さプロファイルを使って、レーザの焦点レンズとサンプル表面の間の距離を修正する。高信頼レーザブロービングの重要パラメータの1つであるこの方法は、3D構造のサンプルの実験を通じて一定に保たれる。これは、以前はそのような分析で利用できなかったことである。Benjamin Bartelsは、「われわれは、遥かに広い範囲で分子の分布を研究することができるようになった。昆虫の外骨格、あるいはその環境内での微生物のコロニーを想定している。葉の多様な毛状突起内容の比較もできる」と話している。
(詳細は、www.mpg.de)