March, 13, 2017, München--ヘルムホルツセントルムミュンヒェンの生物・医療イメージング研究所(Institute of Biological and Medical Imaging at Helmholtz Zentrum München)は、「食道トラッキング用にハイブリッド光学・光音響内視鏡」(ESOTRAC)研究プロジェクトを主導している。
同プロジェクトではエンジニアと医師が新しいハイブリッド内視鏡を共同開発する。目的は食道がんの早期診断と病期診断。このデバイスにより不要な生検が減少し、さらに重要なことには、早期治療開始につながる病気の早期発見が容易になる。これにより、遅れた病気治療と比較して治療効果が向上し、ヘルスケアシステムの膨大なコスト節減につながる。ESOTRACは、EU研究と革新、Horizon 2020から400万ユーロの助成金を獲得している。
現在、食道がん(EC)は白色光内視鏡またはランダム組織生検を用いて検出される。現在の検出法の限界のために、ECは進んだ病期で発見されるのが一般的であり、外科処置が行われ、生存予測もよくない。
ESOTRACは、4年研究プログラムで、早期ECの発見を大幅に改善することを目的にしている。5ヶ国の学際的な研究チームが、マルチスペクトル光音響トモグラフィ(MSOT)による病態生理学的組織シグネチャセンシングと、OCTによる形態的病気シグネチャとを統合する画期的な内視鏡を開発する。最終的なシステムは、そのトモグラフィ機能によりラベルフリーモードで動作する。また、表面下組織特性を可視化し、従来のビデオ内視鏡よりもはるかに豊富な食道壁情報を提供する。包括的な表面下情報により早期ECの発見、病期が分かる、これらはいずれも現在は高信頼にはできない。新しいウ内視鏡は、白色光内視鏡と比べて、疑わしい領域のより正確なガイダンスを提供することで不要な生検数削減にも有効である。
ESOTRACが開発する機器は、ECの診断だけでなく、消化器内視鏡検査の今後を変えると見なされている。これは、食道壁全体の迅速な3Dイメージング、病期バイオマーカーの均一化によるものである。「MSOTとOCTを組み合わせることは、今後医師が食道を診断する方法を形作ることになる」とESOTRACコーオーディネータ、Vasilis Ntziachristos教授はコメントしている。
ESOTRACの目標の1つは、ECの定量的測定を提供し、医療のパーソナライズ、高精度化であるので、デバイスは、地方と都市部の内視鏡ベースのケアの均一化に役立つ。またESOTRAC内視鏡は可能な限り小型化、患者にやさしく造られるので咽頭反射や鎮痛剤の必要性も低減される。こうしたことから、ESOTRACは消化器診療で幅広く使用できる内視鏡実現を目標にしている。