March, 9, 2017, Durham--デューク大学(Duke University)生体医用工学の研究チームは、2つのレーザとカメラを使って細胞毎にガンの兆候を検出する方法を発見した。
Biophysical Journalに発表された研究は、内部構造に現れるパタンを使用して個々の細胞の硬さを評価する技術について報告している。
現在、世界中で使用されている、また臨床試験されている医療機器のなかには、ガン組織の指標として細胞の硬さの増加を見つけようとするものがある。しかし、これらのデバイスは体内でクラスタになった多くの細胞からの読み取りに依存しており、1個の細胞レベルでは動作できない。
発表された論文によると、研究チームは、内部構造に現れるパタンを利用して個々の細胞の硬さを評価する技術を開発した。この成果は、内部が組織化されればされるほど、細胞が硬くなることを示している。
以前の研究で生体医用工学教授、Adam Waxは、細胞の内部構造は、液体がその外部周辺を流れるに従い、変わることを示した。
また、同氏は、そのシフト量を計測することで細胞の硬さを計算できることを示した。この発見は、単一細胞の硬さを計測する従来法と比べて利点は多い。例えば、細胞への物理的接触が不要であり、計測時間が短い。
従来のAFMのようなアプローチでは1個の試料の準備に1日かかる。新しい方法では、細胞グループの撮像に30~40分しかかからない、と論文の筆頭著者, Will Eldridgeは説明している。
これに満足していない研究チームは、同じことをもっと短時間でできる視覚的測定基準を見つけようとした。新しい論文は、細胞の内部構造に見つかる障害の量がその硬さと直接的に関連していることを示している。
細胞の障害を計測するために研究チームはレーザを照射して細胞を透過させ、それを第2の遮られていないビームと比較する。試料を透過する2つのレーザの時間差を分析して画像を生成し、細胞の内部構造がどの程度乱されているかを明らかにした。
この考えの有効性を証明するために研究グループは、すでに実証されている「ジェロモールド(Jell-O mold)」技術を使って硬さを測定する前に、異なる5種の生きたガン細胞でこれらの「位相の無秩序」を計測した。期待通りに、2つの測定基準は高度に相関していた。
「この技術の速さを制限するのは、カメラの視野角だけである。潜在的に、数秒で数100の個別細胞を計測できる」とEldrigeは説明している。
2つの計測間の正確な関係を判断するためには、さらなる研究が必要であるが、Waxはこの技術がガンスクリーニング用の新しい生体医用デバイスに移行することについて、見込みがあると考えている。
(詳細は、www.duke.edu)