January, 13, 2017, Rochester--ロチェスター大学メディカルセンタ(University of Rochester Medical Center)の研究グループは、眼の健康や疾患の評価の仕方に変革を起こす新しいイメージング技術を開発した。研究グループは、緑内障のような病気で失明に関与する目の後ろの個々の細胞を初めて見分けることができるようになった。この新技術が、こうした疾患の早期診断と治療を通じて失明を防ぐことができると研究グループは期待している。
研究グループは、個々の網膜神経節細胞(RGC)を識別することができるようになった。RGCは、視覚情報を脳に伝える際のほとんどの責任を負っている。
緑内障ではRGCの死が失明を起こすため、以前からイメージングRGCは関心がもたれていた。緑内障は、世界で二番目に多い失明原因である。人のRGCはほぼ完璧に透明であることから、これまでに誰も個別のRGCの画像取得に成功したものはいない。
RGCを直接イメージングする代わりに、緑内障は現在、RGCから脳に突き出している神経線維の太さを評価することで診断されている。しかし、網膜神経線維の太さに変化が一般的に検出されるまでには、患者はRGCの数万を失っている可能性がある。
「原理的に、この新しいアプローチにより、われわれは最終的に単一の神経節細胞の損失を検出できるようになる。その損失の発見が早ければ早いほど、その病気を阻止し、失明を防ぐチャンスが多くなる」とDavid Williams学部長(Research in Arts, Sciences, and Engineering)はコメントしている。
ピッツバーグ大学医学部眼科のEthan A. Rossi准教授のグループは、既存の技術(AOSLO)を改良することでRGCを見ることができるようになった。個々の画像で網膜から散乱する光を集めるために使用するディテクタのサイズも位置も様々だが、研究グループは多数の画像を集め、次にそれらの画像を結合した。マルチオフセット検出と呼ばれるこの技術をロチェスター大学メディカルセンタで動物と、正常視力のボランティア、加齢黄斑変性症の患者で行った。
この技術により研究グループはRGCを可視化するとともに、細胞内の構造、細胞核なども動物では識別することができた。同氏は、網膜神経線維が細くなる前に、RGCの1つが死ぬ前でさえ、緑内障の評価もできるようになると見ている。これは、RGC細胞 体におけるサイズと構造の変化を検出することで可能になる。
RGCsはRossiの研究の主要フォーカスであったが、これは、この技術を使ってイメージングできる1つの細胞タイプに過ぎない。加齢黄斑変性疾患では、色を検出する、中心視に重要な錐体光受容体が最初に死ぬ。AOSLOは以前、錐体視細胞のイメージングに使用されていたが、これらの細胞はドルーゼ付近の領域では見ることが難し語った。ドルーゼとは、この病気の最も一般的な兆候である脂肪性沈着物である。マルチオフセット技術を加齢黄斑変性症患者に適用し、Rossiはドルーゼ近傍、網膜が損傷を受けた領域の錐体視細胞の健全性を評価することができた。
「この技術は、これまで生きた目のイメージングでできなかった網膜特性の多くを評価する機会を与えるものである。RGCにとどまらず、潜在的に他のほぼ透明な細胞全般も同様である」と同氏はコメントしている。