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超高解像度顕微鏡で自然状態の生体物質の3D画像を実証

September, 12, 2016, Austin--テキサス大学オースティン校の研究チームは、自然状態の生体物質の構造の3D画像を他の方法よりもはるかに 高い解像度で作製する方法を実証した。この方法により、細胞の相互交信方法が明らかになり、皮膚や心臓組織などの人工器官を開発するエンジニアに重要な洞察を提供できる可能性がある。研究成果は、Nature Communicationsに発表されている。
 物理学者、Ernst-Ludwig Florin氏をリーダーとするチームは、コラーゲン原繊維ネットワークのナノメートルスケール画像を撮るために熱雑音イメージングという方法を使った。コラーゲン原繊維ネットワークは、動物の皮膚に見つかる結合組織の一部を形成する。このスケールでコラーゲン原繊維を調べることで研究者は、皮膚の弾性に影響する重要な特性を初めて計測することができた。これは、人工皮膚、組織の設計改善につながるものである。
 生体サンプルでナノスケール構造の鮮明な3D画像を撮ることは極めて難しい。傾向として、それらが柔らかく、溶液の中にあるからである。このことは、微小な熱振動が構造を前後に動かす、つまりブラウン運動として知られる効果を意味する。
 このような不鮮明さを克服するために、他の超高解像度イメージング技術は化学薬品を加えることで生体サンプルを「固定」することが多い。こうした薬品は、様々な構造を固化するが、この場合、物質がその自然の機械的特性を失う。研究者は時には、サンプルを固定せずに不鮮明さを克服できることがある。例えば、ガラス表面に付着した剛構造に焦点を合わせる。しかし、調べることができるその種の構造や構成は極めて制限される。
 研究チームは、異なるアプローチをとった。画像生成のためにナノスフィア、つまりレーザ光を反射するナノメートルサイズのビーズを自然状態にある生体サンプルに加え、サンプルにレーザを照射し、光学顕微鏡を透して見えるナノスフィアの超高速スナップショットを集めた。
 熱雑音イメージングでは、自然のブラウン運動でナノスフィアがサンプル内を動き回る。
「この無秩序の小刻みな揺れがほとんどの顕微鏡技術にとっては妨害になる。全てを不鮮明にするからである。われわれは、それを利用した。われわれのプローブを動き回らせるための複雑な機構を構築する必要がない。傍観して、われわれの代わりに自然にやらせればよい」とFlorin氏はコメントしている。
 熱雑音イメージング技術の元の着想は2001年に発表され特許になっているが、技術的な難しさのために今日までそれが完全に機能するプロセスには発展しなかった。
 そのツールにより研究チームは初めて、コラーゲン原繊維の機械的特性をネットワークで計測することができた。コラーゲンは、生体ポリマであり、皮膚の細胞でヤグラを形成し、皮膚の弾性に寄与する。コラーゲンネットワークのアーキテクチャがどのようにしてその弾性に帰着するかについて研究チームはまだ確認できていない。これは、人工皮膚の合理的な設計にとっては答えなければならない重要な問いである。
「人工皮膚を作ろうとすれば、自然の成分がどのように働くかを理解しなければならない。そうすると、適切な方法で細胞の成長を促進するスカフォールディングとして機能するコラーゲンネットワークの設計が改善される」とFlorin氏は話している。