July, 19, 2016, 和光--理化学研究所(理研)光量子工学研究領域生細胞超解像イメージング研究チームの岩井優和客員研究員、中野明彦チームリーダーらの共同研究チームは、生細胞超解像・高速イメージングによって、生きた植物細胞内に存在する葉緑体内での「光エネルギー伝達」の変動の様子を可視化することに成功した。
光合成反応は、自然環境の維持と物質生産の根幹を担う重要な役割を果たしている。光合成の基盤となる光化学系(タンパク質)は、葉緑体のチラコイド膜に存在し、集光アンテナタンパク質から運ばれる光エネルギーを消費し、電子伝達系を駆動している。光エネルギー伝達機構の制御には、集光アンテナタンパク質が大きく関与しており、その制御機構の全容は複雑で、さまざまな分子が連動することで、光合成反応全般の効率を維持していると考えられている。
しかし、植物細胞内に存在する10µm以下の大きさの葉緑体内でのタンパク質の働きを観察すること、高速に伝達する光エネルギーを直接捕えることは極めて難しく、これまで光エネルギー伝達を生きた細胞で観察することはできなかった。
共同研究チームは、多色・超解像・高速の「共焦点顕微鏡システム(SCLIM)」を用いて、三次元(縦・横・高さ)方向に高速スキャンし超解像レベルで植物の生細胞を観察した。その結果、光エネルギー伝達の変動を示すクロロフィル蛍光のダイナミクスを可視化することに成功した。
(詳細は、www.riken.jp)